カルチャー

2022/07/14

KDDI地域サポーターが挑む
関係人口がつくる地域の未来

KDDI地域サポーターが挑む<br>関係人口がつくる地域の未来

2020年度、業務外で地域を応援する社内コミュニティとして「KDDI地域サポーター」が立ち上がりました。その活動の目的について事務局のお二人に伺うとともに、長野県の地域サポーターとして活動する齊藤さんに思いを語っていただきました。

目次

■インタビュイー略歴


高井

高井 奈月

経営戦略本部 地域共創推進部
KDDI地域サポーター事務局を務める
高橋

高橋 美樹

パーソナル企画統括本部 パーソナル業務推進部
社内副業でKDDI地域サポーター事務局を務める
齊藤

齊藤 稔充

エンジニアリング推進本部 運用管理部 八俣送信所
長野県の地域サポーターとして活動中

必要なのは応援したいというその気持ちだけ

必要なのは応援したいというその気持ちだけ

「KDDI地域サポーター」を立ち上げた目的を教えてください

高井:「KDDI地域サポーター」は社員の皆さんに地域共創への関心を高めていただくとともに、「関係人口」の創出を目指しています。「関係人口」とは、特定の地域に何らかのルーツを持ち、定期的に訪れたり、特産品を購入したり、都心に住みながら地域とさまざまな形で関わる人のことです。「東京一極集中」が問題に挙がる今、地方は人口減少や高齢化による地域づくりの担い手不足といった課題に直面しています。これらを解決し、地域に新しい風を吹かせる存在として、総務省が旗振り役となって「関係人口」の拡大を目指しています。

地域共創推進部で仕事をしていると「地域のために何かしたい」という社員の声をよく耳にします。こうした思いと地方の課題解決を実現できないかと考え、2020年7月に社内コミュニティとして「地域サポーター」を立ち上げました。2022年2月時点で兵庫県、広島県、長野県、福岡県、北海道の5つの道府県でコミュニティが生まれました。

Tech-in イベントの様子。登壇者によるユーモアあふれるプレゼンに会場は終始笑い声に包まれていました。

▲総務省が掲げる「関係人口」のイメージ。地域に愛着を持ち、さまざまな形で関わる人材が増えることで、新たな事業の創出など良い変化がもたらされると期待されている

出典:総務省ホームページ

高橋:私は2021年5月から副業制度で事務局に参画しています。本業はパーソナル事業本部の人財育成を担当しており、社内副業を社員の皆さんに推奨する立場として、まずは自分で経験してみようと思ったのがきっかけです。

たくさんある副業案件の中から地域共創の取り組みを選んだのは、東日本大震災での被災地支援を通してKDDI社員の皆さんの力を実感したからです。震災当時、建設本部の方から「現地で工具が不足しているので支援を募れないか」と相談を受け、すぐにグループ全社員にお知らせを出しました。すると2週間で6,000点もの工具が寄せられ、現地の方からは「津波で工具がすべて流されてしまったが、これで仕事ができます!」と感謝の言葉をいただきました。社員の力はすごいものです。この経験から、KDDIには本業の傍らで「人のために貢献したい」と考える人がたくさんいると気づき、そうした人の背中を押せればと思いました。

高井:地域サポーターの方の参加動機はさまざまですが、出身地や過去の居住地、勤務地、ご親戚がいらっしゃるなどその土地に何かしらの縁がある方が多い印象です。「セカンドキャリアとして思い入れのある土地に恩返ししたい」と考えるエルダー世代の社員も多くいらっしゃいますが、その地域を応援したいという気持ちがあれば、どなたでも参加いただけます。

誰かのために動いていたら自分のスキルが見えてきた

誰かのために動いていたら自分のスキルが見えてきた

齊藤さんはどういった経緯で長野県の地域サポーターに応募されたんですか

齊藤:募集要項に並んでいた「りんご」「シードル」という文字に釣られました(笑)。というのも、私は秋田県でりんご園を営む一家の長男として生まれ、家業を継がずに通信の道を選んで今に至ります。それでも心のどこかでりんご農家のことが気になっていて、セカンドキャリアを考えるようになった最近では果樹農家のことがより一層気にかかるようになりました。りんごを育てる人の苦労を間近で見てきたからこそ、農家に貢献したい。人口減少が深刻な地域で誰かが次の担い手にならないと。こうした使命感のような思いもあり、今後に向けた最初のステップとして長野県地域サポーターへの参加を決めました。

長野という土地にご縁があったことも理由の一つです。学生時代は長期休暇のたびに長野県のロッジに住み込みでアルバイトをしており、就職後もスキーやキャンプで何度も訪れています。長野県が通える距離であることも決め手になりました。

現在ライン長を務めている八俣送信所では、メンバーにいつも「雑談を大事してほしい」と伝えています。なんてことない話でいいから会話をたくさんしてほしい。そうやって顔を合わせて一緒に過ごして初めて、相手の考えや思いを感じ取れるからです。地域サポーターの活動も同じで、地域の方と直接触れ合い、お話しすることを大切にしたいと思っています。ここまでいろいろな理由が重なると、これはもう応募するしかないですよ(笑)。「飯綱りんごdeつくり隊」のイベントには家族も親戚も総出で参加しました。

「KDDI地域サポーター」を続けてきて気づいたことはありますか

高橋:私は話好きなので、よろず相談のように周囲の人のちょっとした困りごとを聞くことがよくあります。目の前の人が悩んでいることに対して自分が会社で学んできたノウハウやスキルが役立つことがあり、「あれ?私でも人の役に立てるんだ」と実感を得ることがあります。ここにきて企業の一員としてこれまで学ばせてもらったさまざまなことを人のために活かしていきたいという思いも湧いています。地域サポーターの活動を通してたくさんの人にこの経験をしていただきたいですね。

齊藤:私は農業の知識があったため「飯綱りんごdeつくり隊」ではりんごの収穫方法を周りの人に教えたりしていました。私たちがオーナーになったりんごの木も、実際に手間ひまかけて育ててくださるのは農家の方です。その苦労や工程を知っているからこそ、自分なりに農家の方をサポートすることができ、ねぎらいや感謝の言葉とともに喜んでいただけたことがとてもうれしかったですね。

地域への思いをつなぎ合わせ、力に変えていきたい

地域への思いをつなぎ合わせ、力に変えていきたい

この活動を通して、うれしかったことはありますか

高橋:「こんなイベントをやりたいです」と提案してくれたり、企画を実現するために役場に交渉に行ったり、電話をかけたり自ら動き回ってくださる方もいます。さらに北海道と福岡では、有志の方がリーダーとなって新たにコミュニティを立ち上げています。試行錯誤の中で生まれた地域サポーターの取り組みが、皆さんの力を借りながらどんどん派生していることがすごくうれしいですね。

副業を通して自主性を持った人にたくさん出会い、KDDI社員の新しい魅力を見つけられました。「地域サポーターに参加してKDDIっていい会社だなと改めて思った」と言ってくださる方もいて、会社の魅力を再認識する機会を提供できてよかったと思います。

今後、「KDDI地域サポーター」はどのように進化していきますか

高井:この都道府県のコミュニティができたら参加したい」といった声もあるので、今後はより効率的な形を探しながら、「地域を応援したい」という思いを持った社員同士がつながり、そこから活動を広げていけるような環境を整えていきたいと思います。

高橋:この活動は、自分のスキルやそれが求められる場を見つけて活かしていくきっかけの一つになると思います。現在は完全ボランティアのコミュニティ活動ですが、業務の数%を充てられる制度として位置付けられるようになれば、事業も絡めてもっと幅広く、地域にとって実効性のある活動に育っていくのではないかと思っています。今後もこのコミュニティが根付いていくように、副業期間を終えてもサポートしていけたらと思います。

齊藤:都会の利便性や刺激に慣れると地方を不便に感じる方もいるかもしれませんが、「地方なくして都会なし」です。社員の皆さんがどこかの地域に関わることで発展につながり、貢献できると思います。趣味とのつながりやちょっとした興味からで十分です。ぜひ「関係人口」になっていただいて、一緒に地方を盛り上げていきましょう。

長野県地域サポーターによる地域貢献プログラム「飯綱りんごdeつくり隊」

■長野県地域サポーターによる地域貢献プログラム「飯綱りんごdeつくり隊」

長野県飯綱町に本社を置き、「St.Cousair」「久世福商店」などのブランドを展開する株式会社サンクゼールさまと協働し、関係人口事業のモデルづくりのために実施。地域サポーターが飯綱町のりんごの木を購入し、そこから収穫したりんごを使ってシードルを製造します。地域サポーターは商品企画から社内販売まで約1年を通して全ステップに関わり、シードルの収益金はサンクゼールさまによって飯綱町に還元されます。

長野県地域サポーターによる地域貢献プログラム「飯綱りんごdeつくり隊」

長野県地域サポーターによる「飯綱リンゴdeつくり隊」第1回企画ミーティングの様子

長野県サポーターを中心に長野を愛する67名がオンラインで参加

▲長野県サポーターを中心に長野を愛する67名がオンラインで参加

長野県地域サポーターとそのご家族が参加した飯綱町アグリツアー当日の様子

「KDDI社員が11本のりんごの木のオーナーとなり、現地の方にとても喜んでいただきました」と高井さん

▲「KDDI社員が11本のりんごの木のオーナーとなり、現地の方にとても喜んでいただきました」と高井さん


長野県を応援する30名の参加者

▲長野県を応援する30名の参加者

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