カルチャー
2026/01/30
KDDIの5G SAスライシング技術で挑む、イベント映像中継の裏側
~社内イベントでの技術チームのチャレンジとは?~

KDDIでは、次世代ネットワーク技術を活用した新たな取り組みを社内外で推進しています。
今回は、2025年11月15日に開催された社内イベント「KDDIスポーツフェスティバル2025」での駅伝中継を成功させよう!と、5Gの特徴的な機能である「5G SAスライシング」を活用した映像配信に挑戦したメンバーへのインタビューをご紹介します。
目次
■インタビュイー略歴
■KDDIスポーツフェスティバル事務局
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長迫 芳枝
- 総務本部 総務部
2020年にUQコミュニケーションズからKDDIへ転籍。総務部にて社員のエンゲージメント向上や一体感醸成を目的とした、KDDIスポーツフェスティバルやファミリーデー、社長賞などの全社イベントの企画・運営に携わる。
■スライシングでつなぐ!駅伝中継チーム
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原 千晶
- ネットワーク開発本部 アドバンスド技術推進部
2020年に入社後、ネットワークオペレーションセンターにて法人向けバックボーンネットワークの設備運用を担当。その後IPネットワーク部では、運用で担当した設備の開発・設計を経験。現在は、5G SAスライシングなど新たな価値を提供する技術の開発・インフラ設計・品質改善に取り組んでいる。
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上田 耕平
- ネットワーク開発本部 アドバンスド技術推進部
2023年に入社し、ネットワーク開発本部にて次世代通信技術5G SAスライシングの開発に従事。放送業界における高画質な映像中継を実現する技術実証に貢献。現在は、その技術を社会に届けるため、パートナー企業様と共に新たなビジネスやユースケースの創出を推進。
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高畠 隆真
- ネットワーク開発本部 アドバンスド技術推進部
2024年新卒入社。配属以来、次世代通信「5G SAスライシング」を活用し、これまでにない臨場感あふれる映像体験の実現に取り組んでいる。
現在は、パートナー企業と共にイベント現場での技術検証を重ね、新たなエンターテインメントの創造に挑戦している。
1分でわかる!5G SAスライシングとは
5G設備のみで構成される「SA(Stand Alone)」方式で利用可能となる、ビジネス共創を支える重要な機能。同じネットワーク上で、異なるサービス品質を同時に提供可能とする技術。
「LTE」や「5G NSA(Non Stand Alone)」方式は、すべてのサービスが同じネットワークを共有する「ベストエフォート型」であるのに対し、5G SAスライシングは、ネットワークを仮想的に分割、サービス用途によって最適なネットワークを構築する。これにより、同じネットワーク上で、ブロードバンドサービス、IoTサービス、超低遅延サービスなどの多様なサービス品質に最適化された通信を実現する。

駅伝の様子を、離れた会場に届けたい。
その思いが技術チャレンジの始まり
今回、どのような経緯で、5G SAスライシングを用いた駅伝中継を行うことになったのでしょうか。
長迫:KDDIスポーツフェスティバル(以下、Kスポ)は「KDDIグループで働く社員の地域や職場の枠を超えたコミュニケーションの促進と、家族を含めた社員同士の交流や一体感の醸成」を目的として、2013年から始まりました。
私は2022年から事務局を担当しているのですが、実施後のアンケート調査では、リレー関連の競技は例年ランキング上位にあるんです。中でも駅伝大会は、第一回目からたびたび開催されている伝統の超人気種目なのですが、ここ数年は、コロナ禍や会場の関係から実施できませんでした。
屋外で思いっきり走るためにはどうしたら良いか、と検討していたところ、今年度のメイン会場の東京ビッグサイト横にある東京臨海広域防災公園を使用できることに。しかし今度は、「駅伝の様子をどうやって東京ビッグサイトの会場内に伝えるか」という新たな課題に直面します。そこで頭に浮かんだのが、過去マラソン中継でも活用された「5G SAスライシング」だったんです。
そこから、どのようにして準備を進めていったのでしょうか。
長迫:まずマラソン中継の関係者に打診したところ、アドバンスド技術推進部を紹介いただき、そこから対応を引き継いでいただいたのが、原さんでした。
原:はい、今回の駅伝中継では、技術系の取りまとめ役として入らせていただきました。社外映像制作会社とのやりとりや、事務局メンバー・技術部門メンバーの橋渡しをしています。
アドバンス技術推進部では、5G SAスライシング技術やミリ波中継器など、最新の5G技術を用いた付加価値創造を推進しています。
5G SAスライシングは、KDDIが他社に先行して開発を進めてきた技術で、マラソンや野球、サッカー、陸上大会など、スポーツイベントの中継で活用されてきましたが、社内からのお声がけは今回が初めてでした。ちなみに私、Kスポは個人的にも大好きなんです!
長迫:本当に? 事務局として、それはうれしい!
原:はい、実はよく参加していました。
社内の一大イベントであるKスポで活用することで、社員の皆さんに5G SAスライシングを知っていただく機会にもなります。
お話をいただいて「ぜひやりたい!」と思い、東京臨海広域防災公園に5G SAエリアがあるかを確認、駅伝中継に活用できそうだと分かり、4月頃から準備を進めていきました。
無線カメラだけで構成する
60分間の駅伝中継にチャレンジ
上田さんと高畠さんは、どのような役割で参加しているのですか?
上田:今回の駅伝中継では、利用する映像機器(ビデオカメラや映像用のエンコーダやデコーダなど)の検討などを行っています。このプロジェクトには、5G SAスライシングを用いた映像中継などのユースケース展開を推進してきた経験から参加しました。
実際の駅伝中継では、駅伝会場で撮影した映像を、5G SA基地局を介して東京ビッグサイトへ届けます。今回は、駅伝会場に有線を引けないこともあり、無線カメラのみで、60分間の駅伝中継を行うというチャレンジングな構成です。私は、有線から無線にすべてのカメラを置き換えるための、必要な映像機器の構成や設定検討を担当しました。実際の現場での映像取りまとめについては、高畠さんにお任せしようと声をかけました。
▲「駅伝ランナーの応援はもちろん、その裏側で中継を支える私たち技術メンバーのことも心の中で応援してもらえたらうれしい」と上田
高畠:はい、私は現場のまとめ役として、駅伝企画を盛り上げるため、映像制作会社と協力しての現場の映像づくりを担当しました。例えば、演出の意図を確認しながら、駅伝会場の環境を加味した最適なカメラアングルを提案するなども私の仕事です。
普段から、放送局や映像制作会社などのパートナーと一緒に技術実証に取り組んでおり、その経験を今回の駅伝中継にも生かしています。
10月29日、東京臨海広域防災公園でのリハーサルにお邪魔しました。
上田さん含む3名で、スタート・ゴール地点、病院横、東口近辺に分かれ、配信をチェックされていました。
▲東京臨海広域防災公園の1周1.3㎞の周回コースを利用します
▲東京臨海広域防災公園は、なんと東京ドームの約2.8倍の広さがある公園です
▲ランナーを追いかけている想定で配信の状況をチェックする、スマホカメラのサポート担当 上田
▲「問題なさそうだね!」左は放送用カメラのサポート担当 入社2年目の中根 和俊
▲入社1年目にして、スタート・ゴール地点 放送用カメラのサポートを担当する笹木 駿平。責任重大ですね!
▲駅伝ランナーと共に走ります!
今回のようなイベント中継に、5G SAスライシングを活用するメリットを教えてください。
高畠:従来のベストエフォート型ネットワークでは、周囲のお客さまのご利用状況によって、映像が乱れるなど不安定となることがありましたが、5G SAスライシングによって安定した中継が可能となりました。
これまで、放送用カメラで安定した映像・音声伝送を行うためには、有線接続や専用無線の利用が一般的でした。モバイルネットワークでの映像伝送により、煩雑なケーブルの取り回しや専用機器の設置などの事前準備も簡略化できますし、物を長時間放置できない公共施設でも活用できます。有線だと届かない場所も撮影できるので、より臨場感のある映像体験を提供できるのも大きな魅力です。
こうした5G SAスライシングによる新たな映像体験価値については、放送局や映像制作会社の皆さんからも関心をお寄せいただいています。
▲「スマートフォンだと、ケーブルに制限されずあらゆる視点・距離で撮影が可能です。
きっと皆さんにより臨場感のある駅伝中継をご覧いただけると思います!」と高畠
駅伝中継で5G SAスライシングを活用するにあたり、大変だったことや、準備を進める中で印象的だったことはありますか。
原:まず一番のミッションは「映像中継を途絶えさせないこと」です。
駅伝中継に限らず、これまでの5G SAスライシングによる映像中継でも課題となってきたポイントです。今回も例外ではなく、壁にぶつかりましたが、過去の知見を活かしながら、みんなで乗り越えることができました。
例えば、駅伝会場である防災公園のような場所と、多くのお客さまが集まることを想定したスタジアムとではエリアの作り方が異なります。こういった条件の違いも吸収して、「いかに移動しながらの中継を途絶えさせないか」が肝になると感じています。
▲「5G SAスライシングは現在、活用シーンを広げている段階です!」と原
上田:他には、長時間にわたって中継をすると、伝送機器が高温になって映像がストップするという問題も。「60分間、駅伝を中継し続ける」というミッションを果たすために、熱をこもらせない効率的な排熱方法を検討するなど、安定して映像を届けるための対策を練っています。
高畠:そうですね。あとは「カメラと端末をつなぐケーブルが抜けた」「端末の充電が切れた」なども問題で、中継にはトラブルがつきものです。中継を途切れさせないよう、複数台のカメラそれぞれの利用実績をもとに想定されるトラブルを挙げていき、対処方法を考えながら準備を進めました。
▲「参加者はご家族も含め数千人になることも。毎年さまざま部署と協力することでよりよい社内イベントになっていると感じます」と、KDDIスポーツフェスティバル事務局の長迫。
上田:今回、「有線ケーブルが引けない公共施設での、複数台の無線カメラによる60分間の駅伝中継」に挑めたのは、KDDIの技術があってこそです。その裏側には、これまでネットワークを運用・保守してきた方々や、5G SAエリア拡大に尽力してきた社員の皆さんの力があります。今回の駅伝中継を通じて、そんなKDDIの技術と人の力を体感いただけたのではないかと思います。
原:5G SAスライシングは今後、映像中継のみならず、イベント利用やドローン、自動車や鉄道、製造業(スマートファクトリー)など他の産業でも私たちに新しい体験価値を与えうるものだと確信しています。今回のような現場でのトライアルを通じてフィードバックを重ねながら、今後も引き続き技術とサービスの双方を磨き上げていきたいです!

































