カルチャー
2023/04/20
きっかけも期待も十人十色! みんなの副業制度活用術
2020年6月に「社内副業制度※」が開始して約3年。多くの社員が続々と副業にチャレンジし、新たな境地を切り開いています。その目的やスタイルは人それぞれ。今回は、副業制度を活用した社員と、人事企画部で副業制度を担当する中島さんが語り合いました。
※「社内副業制度」とは
就業時間の約2割を目安に、自部署以外での業務を経験できるKDDIの人事制度(正社員対象)。社員の専門性の探索や習得を加速させるとともに、組織の壁を超えた人財シナジーによるイノベーション創出の機会を増やすことを目的に導入。社員は自らの希望で募集業務に手を挙げ、柔軟に新しい場に挑戦することができる。社員、所属部署、社内副業先部署の3者が合意した上で、半年間(最大半年間の延長可)の社内副業が可能。副業先の業務も人事評価の対象となる。
目次
■インタビュイー略歴
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八木 時蔵
- パーソナル企画統括本部 カスタマーサービス推進部 運用統括グループ
2021年にパーソナル事業本部サービス統括本部コマースビジネス部で副業
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吉田 桃
- コンシューマ営業統括本部 コンシューマ特販営業統括部 アライアンス営業1部 営業企画グループ
2021年にKDDI総合研究所で副業
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千葉 正雄
- 情報システム本部 スマートオフィスシステム部 コーポレートシステム2グループ
2021年に購買本部 PI推進部、2022年に購買本部物流統括部で副業
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中島 ななみ
- 人事本部 人事企画部 企画グループ
副業制度を担当
副業のきっかけは、社員の数だけある
中島:私は昨年度、かねてから興味があった人事関連の業務を経験したいと思い社内副業制度を活用しました。その後、公募で異動をしたのですが、手を挙げる前に異動先の雰囲気を知ることができたので、副業をしておいて良かったと思いました。皆さんは、なぜ副業制度を活用しようと思いましたか。
八木:理由は2つあります。一つは、入社時からずっと同じグループにいたので「外の世界を知ること」。もう一つは「スキルアップ」です。データ分析系の業務に興味がありました。
吉田:私は、副業先の業務に興味があったことです。KDDI研究所で在留外国人向けのサービスの立案をするという内容だったのですが、私の夫が在留外国人で、自分の英語のスキルも生かせるので、協力できたらと思いました。
千葉:私はこれまでに2回副業を経験しています。1回目は購買本部IP推進部、2回目は購買本部物流統括部です。どちらも本業で担当している購買管理システムのユーザーとなる部署で、ユーザー側の業務や考え方に触れることが目的でした。副業を通して相手側の考え方をより理解できたと思います。
中島:なるほど、若手社員もキャリアを積んだ社員も関係なく、それぞれ理由がかなり異なるんですね。そもそも会社に副業制度があることについては、どう思いますか。
千葉:非常に先進的だと思います!違う視点を得られるので、いろいろな部署で副業をしたいですね。
吉田:他の部署を知るチャンスですよね。それに加えて、語学やソリューションなど、これまで培ってきた自分のスキルを副業で生かすことで、会社に貢献できるのがうれしいです。
中島:社内には皆さんのように多様なスキルを持った方々がいます。副業制度によって皆さんのスキルが部署間を移動すれば、新しい価値創出につながったり、全社的に業務を効率化することができるかもしれませんね!
八木:私は、入社4年目ということもあって、就職活動時のインターン制度に近いと感じています。やりたいことがある場合、興味のある部署で業務内容や適性を把握できるのは良いことだと思います。
副業先での経験が「自分を知る」ヒントに
中島:人事としては、自律的なキャリア形成のきっかけづくりとして、社員の皆さんに副業制度を活用していただきたいと考えています。みなさんは、副業がキャリア形成にどのような影響を与えると思いますか。
八木:一つは興味がある部署や仕事を肌で感じることで適性が分かること。もう一つは自分のスキルが他部署で通用するのかどうか確かめられることだと思います。他部署で活躍している人の長けているところと自分に足りないところを感じてよい刺激になりました。
千葉:いろいろな部署の考え方や専門性に触れることは、キャリア形成のヒントになりますよね。
吉田:私は異動を視野に入れて副業をしたわけではありませんが、キャリアプランを再考するきっかけになりました。あと、誰でも新しいことを始めるのは楽しいですよね。仕事が楽しいと前向きに取り組めてパフォーマンスにも好影響があると思います。
本業との両立には上司や同僚とのコミュニケーションが鍵
中島:自部署の上司や同僚の反応はいかがでしたか。
八木:時間をやりくりできるか悩んでいたので、上司に相談したところ「時間はつくるものだ。若手社員は外の世界を見てきたほうが良い」と背中を押していただきました。同僚もみんな興味津々で、副業経験者が増えています。
吉田:前のグループリーダーのときから副業に興味があることを話していたのですが、現在のグループリーダーにも引き継がれ、面談の際に話を振っていただきました。副業に対して前向きにとらえていただけたため、安心してこの制度を利用できたと思います。
中島:副業は業務時間の20%が目安となりますが、本業と副業をどのようにやりくりしていましたか。ありのままをぜひお聞かせください。
吉田:私は8時〜15時の時短勤務なのですが、変形労働を活用してうまく時間をやりくりするようにしました。副業はほとんどリモート勤務で、対面で勤務したのは3カ月間で2回だけです。副業というと、ものすごく負担が増えるイメージがあるかもしれませんが、一つ仕事が増えたくらいの感覚でした。
千葉:そうですね。私もプロジェクトが一つ増えたくらいの感じで本業とのバランスを調整していました。具体的には、本業でのやることやらないことを明確にして、副業を含めた優先順位を日々検討していました。
八木:当初は副業でも成果を出すぞ!と自分を追い詰めていたのですが、1日でできることは限られています。副業をするからには本業のクオリティは維持しなければいけないので、自部署の上司と受け入れ側の部署のリーダーと本音で話して、バランスを考えました。本業と副業の両立を模索した経験から、時間への意識が高まったと思います。
中島:その他、何か苦労したことはありましたか。
八木:テレワークでも副業に参加できるので、地方勤務でも副業できるメリットがある一方、顔を合わせないと副業先の温度感が分からず、距離を縮めるのに工夫が必要だったなと思います。
吉田:私の場合はKDDI研究所への副業だったので、慣れるまではチャットツールの違いに戸惑いました。
リスクゼロで新しい経験ができた
中島:皆さんが副業をして良かったと思ったことは何ですか。
八木:他部署に自分の身を置くことで、自分の現在地が分かって良かったです。また本業ではあまり機会がなかった他部署との連携や調整業務を経験したことによって、交渉術を学ぶこともできました。
吉田:人脈ができたことですね。部内にも在留外国人に関する業務を行っている部署があって、両者の橋渡しをすることができました。
千葉:私も社内のいろいろな人とのつながりができました。中途入社社員の場合の部門を越えた人脈作りにもなると思います。他部署の仕事の進め方や考え方の一端に触れることができたので、それを自部門に持ち帰り、情報システム部のソリューションにつなげたいという野心があります。
社内副業は転職と違って、リスクゼロで新しい経験ができる素晴らしい制度。使わないともったいないと思います。思い切ってアクションしてよかったと思います。