採用
2023/11/22
キャリアを考えることって必要なの?本音で語るKDDIキャリア覆面座談会
最近世間ではキャリアの自律が叫ばれていますが、実際には明確なキャリアプランを立てていない人や、忙しさでキャリアを振り返る余裕のない人も多いようです。
政府の研究機関が2022年に行ったアンケートによると、"キャリア観"について「思い描けていない人」が約66%で、6割以上の人が「思い描けていない」あるいは「特に考えていない」状況となっています。そもそも、将来の予測が困難な時代に、なぜキャリアプランを考えることが必要なのでしょうか?今回は、職種や肩書の異なる社員3名にお越しいただき、キャリアに関する想いや不安を本音で語ってもらいました。
※公益財団法⼈ ⽇本⽣産性本部「第8回 働く⼈の意識に関する調査」の調査結果
目次
■インタビュイー略歴 (※仮名)
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Aさん
(20代・男性) - 新卒入社。非管理職で業務系の企画職を担当している。
入社5年目でキャリアに悩んでおり、自分の強みや適正がわからない。同期の活躍を見るなかで焦りを感じることも。キャリアプランをどのように考えればいいのか、疑問に思っている。
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Bさん
(30代・男性・既婚/子どもあり) - 新卒入社。営業担当部署で管理職を務める。
キャリアプランを持っており、ライフイベントの変化にも対応できるよう複数のプランを設計。キャリアの軸として、正当な報酬を前提にしながら「チームワーク」と「社会へのインパクト」を重視している。
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Cさん
(30代・女性・既婚) - キャリア採用入社。非管理職でプロダクト企画の業務を担当している。明確なキャリアプランを立てず、自分の価値観に基づいた「やりたいこと」で進むべき方向を決めている。経験・スキルを生かして新たなチャレンジを求めることもあり、そのときにキャリアを考えることが多い。
キャリアプランは本当に必要?
Aさん:お二人はキャリアプランについて、どんな風に考えていますか?「キャリアプランはあった方がいい」、「プラン通りにいかないから必要ない」など、いろいろな声を聞くこともあり、どのように考えればいいのかよくわかりません。
Bさん:私はキャリアプランは必要だと考えています。「こうありたい」という未来像から逆算したバックキャストで考えており、5年後までの具体的な計画と、10年後までの抽象的なビジョンを描いています。働くなかで目標を見失いそうになったときに役立ちますね。
Cさん:私の場合、明確なキャリアプランを持っているわけでも、その必要性を普段から意識しているわけでもありません。それよりも「やりたいこと」を優先してキャリアの方向性を考えています。「やりがい」を持って取り組めそうな仕事やプロジェクトがあれば、そこにフォーカスしてキャリアをアップデートしていきます。Aさんは、キャリアで悩んでいるのですか?
Aさん:そうですね、今入社5年目なのですが「やりたいこと」が不明確で、キャリアの方向性をどうすればいいのか迷っています。部署異動もなく一つの職種しか経験したことがないため、今の仕事に適性があるのかどうかも判断しにくい状況で、少し焦りを感じ始めています。
Bさん:私も新卒入社なのでよくわかります。入社時の面接などでキャリアプランを話していましたが、あれは自己分析の一種だったと思います。キャリアを意識するようになったのは、Cさんと同じ5年目のときで「初めての部署異動」がきっかけです。
Aさん:なぜ、部署異動でキャリアを考えるようになったんですか?
Bさん:納得できる働き方をするためには、社命に従うだけでは不十分だと思ったのです。自分らしいキャリアを考え、周りに伝えていくことが大切だと考えるようになりました。同期との横並びから抜け出し、自分で答えを出していくのが、入社5年目を迎えたAさんの時期なのかもしれません。
Aさん:たしかに、周囲の影響を受けることは多いです。同期が大きなプロジェクトなどで成功したのを見て「すごいな」と思うのと同時に、自分のキャリアで目立った実績を残せていないので「大きな差」を感じてしまいます。
Cさん:私もAさんと同じくらいの時期は「とにかく大きな仕事がしたい」と考え、他人と比べることもありました。「実力をつけて早く成果を出さなきゃ」と視野が狭くなっていたことも多かったと思います。自分の強みや適性がよくわからないので、余計に不安を感じるのかもしれませんね。
Bさん:そうですね、自分の経験を振り返っても、無我夢中で仕事をしているときはキャリアを考える余裕がありませんでした。そこから一段落したときに、他人の物差しではなく「自分」の興味関心で周囲を見渡してみると、キャリアを考える上でのヒントが落ちていると思います。
真剣に考えるきっかけは「ライフイベント」
Aさん:キャリアをしっかり考えてみようと思うのですが、Bさんがキャリアプランを立てるようになったきっかけは?
Bさん:ライフイベントがきっかけですね。子どもを授かったタイミングで、本格的にキャリアプランを考えるようになりました。想定外のことが起こっても自分の「やりたいこと」を叶えられるように、キャリアプランを用意しています。
Cさん:私の周りでも、結婚や出産をきっかけにキャリアプランを考えるようになった人が多いです。仕事を最優先にしていた人が、子どもとの時間を何より大切に考えるようになることもあります。
Aさん:ライフイベントの変化は、予測するのが難しいこともありますよね。どんな風にキャリアプランを立てているのでしょうか?
Bさん:一つのキャリアプランだけでは対応が難しいと思っています。パートナーの出産など突発的なライフイベントの変化にも対応できるよう、複数のプランを用意しています。最初は上手く立てられませんでしたが、どう転んでも「自分って幸せだよね」と感じられるように、アップデートを重ねてきました。
Aさん:キャリアをしっかり考えておけば、思い描いていた目標に挑戦できなくなったとしても、その後のキャリアで改めて実現することもできるというわけですね。
Bさん:その通りです。キャリアプランは、「株式会社自分」の事業計画のようなものだと思います。実績には波があり、意思決定を間違うこともありますが、自分の計画を発表することで共感を得られたり、応援してもらえたりするメリットもあります。
Cさん:私も出産などライフプランが変化していく可能性があるので、今からいろいろな可能性を考えておくのがいいと思いました。達成できなかったときでも、「別のキャリアがあるから」と焦りや不安が和らぎそうです。Bさんは、どんな風にキャリアプランを立てていますか?
Bさん:キャリアプランは難しく考えがちですが、未来の目標から逆算する方法が取り組みやすいと思います。「こうありたい」という自分の価値観をベースに考えるので、キャリアの軸が大きくブレることがありません。
Cさん:それなら私にもできるかもしれません。普段から「やりたいこと」を基本にキャリアを考えているので、「こうありたい」を起点にして、逆算する方法は合っていると思いました。Bさんは実際にキャリアプランを考えるなかで、周りに相談したこともありましたか?
Bさん:はい、友人や先輩の話を聞きましたし、そのなかでいろいろな気づきがありました。例えば、他の会社で一見良さそうなポジションに就いていても、自分のキャリアに不満を抱いているケースもあります。社内の人間関係などさまざまな要因はありますが、自分の「やりたいこと」や「価値観」に合っていないと感じている人も多かったです。
Aさん:なるほど、幸せを感じられるキャリアには、「やりたいこと」や「価値観」など自分の軸が反映されていることが大切なんですね。
キャリアで悩んだら、人生の優先順位で考える
Aさん:お二人の話を聞いて、ライフイベントの変化も見据えて、自分の「価値観」や「やりたいこと」を整理しておいたほうがいいと感じました。そのためには、どうすればいいのでしょうか?
Cさん:「価値観」や「やりたいこと」の見つけ方は人それぞれだと思いますが、私の場合は子どもの頃に体験した「思い出」が「やりたいこと」につながっています。過疎化の進む田舎に祖母が住んでいたのですが、そこで過ごしていた夏休みが忘れられない思い出になっています。その場所を守っていきたいと考え、地方創生に取り組むようになりました。私だけではなく、誰にとっても大切な原体験はあるはずです。
Aさん:仕事だけではなく、子どもの頃の思い出や学生時代の経験も含めた「自分の人生」でキャリアを考えるということですね。
Cさん:はい、キャリアプランは「ライフプラン」でもあると思います。仕事だけではなく、生活全体で「やりたいこと」を考えてみることをおすすめします。QOL(生活の質)を大事にしたいなら、仕事の時間を減らして自分の余暇の時間を増やすのも一つの選択肢です。
Bさん:私も生活を含めた広い視点で、自分の価値観を見つめ直すことは大切だと思います。もっといえば「優先順位」ですよね。例えば「お金」と「余暇」のどっちが大切なのか、自分の心に聞いてみる。自覚できていないだけで、誰でも自分なりの価値観を持っているのではないでしょうか。
Aさん:なるほど、2択で優先順位を整理していくのは「やりたいこと」がわからない自分にとって取り組みやすいです。かっちりしたキャリアの軸ではなく、まずは大切にしたい価値観って何だろう?というように、将来ありたい姿から探っていければいいなと思いました。キャリアの方向性を考えるために、具体的にやっておいた方がいいことなどありますか?
Cさん:社内副業を試してみるのもいいかもしれません。社内副業のメリットは、自分の希望通りの仕事を体験できる可能性があることです。「ここに副業してみたい」と、自分の意思を発信していくことで、キャリアの可能性が広がっていくと思います。Bさんが実際にやってみたことなどありますか?
※社内副業に関する記事はこちら
Bさん:最初に人事制度をしっかり確認しました。キャリアを歩んでいく上で不本意な制約を受けないように、社内の前提条件を知っておきたいと思ったんです。キャリア形成に役立つのはもちろん、後輩から相談を受けたときにもアドバイスしやすいですね。他社で話題の人事制度なども一部公開されているので、役立つかもしれません。
Aさん:社内副業と人事制度は、すぐにでも調べて活用できそうです。自分でも動いてみようと思い、社内で開催されている「キャリアCafé」に早速申し込んでみました。キャリアのヒントになる講演が聴けるのはもちろん、キャリア診断もできるので楽しみです。
キャリアに関する考え方は、十人十色
Cさん:この座談会を通じて、「こうありたい」自分から逆算する考え方を知ることができて本当に良かったです。今後のライフイベントの変化に備えて、いろいろな可能性をシミュレーションしてみようと思います。Bさんはどうですか?
Bさん:私は今回の座談会で、キャリアプランがないことで悩むくらいなら「焦ってつくろうとしなくてもいい」と感じました。そもそも、キャリアで迷うことは悪いことではありません。自分の人生を真剣に考えているから、その分悩むのではないでしょうか。迷っているうちにネガティブになったり、視野が狭くなったりするのを避ければいいと思います。
Aさん:座談会の前は、正直キャリアプランがないことに不安や焦りを感じていました。しかし、お二人の話を聞くなかで、「キャリアプランを立てる上で大切なこと」が明確になり、前向きな気持ちに変わりました。キャリアプランを立てること自体が目的化していましたが、そうではなく、まずは自分の心を整理して、『大切にしたい価値観を見つけること』から始めてみます。そして、無理にキャリアプランを設定しようと焦らず、ワクワク感を大切にしながら自分が進みたい方向を決めていきたいと思います。