技術・サービス

2021/10/07

IT アーキテクト大橋 衛
"外のモノサシ"を通じて一歩ずつ前へ

IT アーキテクト大橋 衛</br>"外のモノサシ"を通じて一歩ずつ前へ

KDDIの社員が自らの意思での専門性や能力を磨き、プロ人財として活躍していくためのサポートをする「高度専門職(EX人財)制度」。今回は、制度を活用してエキスパートとして認定されたITアーキテクトの大橋衛にこれまでのキャリアやスキルを磨こうと思ったきっかけなどを聞きました。

目次

エンジニアの地位向上に懸ける熱い思い

大橋さんがエキスパートを目指したきっかけを教えてください

質問に答えるために、少し遠回りをして私自身の話をさせてください。 この数年間でずいぶん改善されてきたものの、「エンジニア」という存在は長年軽視されていると感じていました。業界には「人月商売」※という独特な表現があり、人そのものが商品のように扱われています。極端なことを言えば、雇用先から“道具”のように扱われ、酷使されてきました。私はこうした現状を変えて、エンジニアが正当に評価される社会を作りたいという思いを抱き続けていました。折しもこの現状は「クラウド」の登場によって一変していきます。クラウド環境の充実により、個人が世界に通用するようなシステムやサービスを作れる時代が訪れたのです。クラウド(と、アジャイル開発)の普及で日本のエンジニアの地位向上に貢献したいと思った私は、いささか大げさかもしれませんが、これこそ自分の使命だという気概をもってクラウドの普及に取り組み始めました。

  • ※人月とは… 1人が1カ月で行うことができる作業量を表す単位のこと。例えば、1人が1カ月(1日8時間×20営業日)で行える作業のことを、1人月(いちにんげつ)と呼ぶ。

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ソリューション事業本部 サービス企画開発本部 プラットフォーム技術部
ITアーキテクト エキスパート 大橋 衛(おおはし まもる)

大学卒業後、12年間にわたり金融・通信・ERP・コンシューマといったさまざまなWebシステム開発プロジェクトにおいてプログラミング、設計、マネジメントを経験。その後、軸足をアプリケーション側からインフラ側に移し、2013年にクラウドと運命的な出会いを果たしたことでクラウドアーキテクトとしての道を歩み始める。複数の案件においてAWSをプラットフォームとしたシステム・アーキテクチャの提案、実装、運用を経験し、2016年1月当社入社。

現在は当社におけるパブリッククラウドの活用推進とセキュリティ対策議論への参画や、システム開発時にアーキテクチャコンサルティングとしてあるべき姿の提案などを行う。また、社内外に向けてパブリッククラウド関連の技術プロモーション活動も行っている。

KDDIなら世界を変えられると思った

日本にクラウドを普及させる——。心を決めたものの、その道のりは簡単ではありません。なぜなら当時、大企業の多くがデータ流出などのセキュリティリスクを懸念し、クラウドの導入に二の足を踏んでいたからです。そのため私は、社会に対して影響力があり、さまざまなことに挑戦しているフットワークの軽い会社に入社し、そこから日本を変えていこうと考えました。そうした軸で会社を探したとき、たどりついたのがKDDI。この会社でなら世界を変えることができる、そう思っていましたし、その気持ちは今でも変わっていません。

入社後、自分の為すべきことが明確だったため、マネージャーになることを目指しました。まずは組織の中に新しい文化を根付かせ、それを全社に広げて会社を変えていく。変わった当社の姿を見た他の企業が、「KDDIが使っているのだから…」とクラウドを活用するようになればと思っていました。私がTech-onなどの技術コミュニティの場で、社外に対して積極的な情報発信を行っているのもそうした理由からです。

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これまでの歩みが自分自身をエキスパートに

だいぶ遠回りしてしまいましたが、これで最初の質問に答えられます(笑)。 先ほど、マネージャーを目指した… とお話しましたが、それは、当時の当社にはエンジニアとして生きていくためのキャリアパスが用意されていなかったからなのです。とはいえ、技術は個人で磨き続けていれば良く、自分自身が納得していち技術者たれば良いとも思っていたため、まずはマネージャーを目指したのです。

マネージャーになってしばらくの後、当社で「高度専門職(EX人財)」という制度が新設されました。人事本部の方たちに話を聞いてみると、今行っている活動にも支障がないと分かり、また、再びエンジニアとしてキャリアを重ねたいと考え、エキスパートを目指すことにしたのです。とはいえ、何か特別な努力をしたという感覚はありません。エキスパートの認定要件の中に書かれていたことは、社内外で講演活動をすることや技術コミュニティなどに所属して、社外から得た知見を会社に還元することなど、これまで自分自身がやってきたことと変わらなかったのです。そのため、エキスパートを目指すとは言ったものの、重ねてきた経験がエキスパートに必要な要件だったという感じでした。

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独学だけに頼らず外の世界へ

大橋さんが歩んできた道がエキスパートにつながっていたということですが、これまでにどのような研鑽を積んできたのでしょうか。

技術研鑽を行うために情報収集や手を動かす独習を続けています。それは業務時間外にわたることもしばしばあります。大切にしているのは、自分自身の立ち位置を評価できる目線を手に入れることです。独学だけを続けて外の世界を知らないと「自分はイケている!」という錯覚に陥りやすいのですが、社外に出ればとんでもない人たちが多く、見事に鼻っ柱を折られます(笑)。それと同時に彼らの存在は、自分の切磋琢磨の精神を鼓舞してくれます。

また、独学で得られることはその技術の表層や氷山の一角に過ぎず、実際にその技術を用いて何かを生み出した社外の方たちから直接話を聞くことで、“ホンモノの情報”を手に入れることができます。ここで得られる生々しい失敗談など“現場感”のある話が自己研鑽のためにはとても重要で、こういった話は普段当社でお付き合いのあるパートナー会社の皆さんからはまず聞くことができません。

こうした“外のモノサシ”を通じて、自分の立ち位置を常に確認し、目指す方向性を間違えないように微修正を繰り返しながら、一歩ずつ前に進んできました。

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キャリアに“最善手”はない

大橋さんが考えるエキスパート像を教えてください。

「エンジニア」のあり方もずいぶん変わってきました。個人的には、高い技術力を持っているだけでは、エキスパートとはいえないと思っています。自分の専門領域の技術的内容を、一般の方に分かりやすく伝えられる能力や、その他の専門領域の技術や知見をつなぎ合わせることができるバランス感覚を持ち合わせている人財がエキスパートなのだと考えています。そのためにも、担当領域以外にもアンテナを立て、習慣的に情報収集を行える好奇心を持った人がエキスパートに向いているのかもしれません。 まずは、いろいろなことに手を出してみて、興味の持てるもの、好きだと思えるものを見つけてください。目指すべき道が決まったら、自分のなりたい姿に向かって試行錯誤を繰り返しながら、無駄なものを削ぎ落としながら進んでいく。

ある程度自信が持てるようになったら、社外に飛び出してみて周りとの差を体感してみてください。私自身そうであったように、きっと多くの方が挫折し、自信を失うことになるかと思います。そこで「会社の中では一番だし、もういいかな…」と折れずに、もう一度気持ちを奮い立たせてエキスパートを目指してほしいと思います。キャリアに“最善手”はないと思うのです。

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