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カルチャー

2025/05/30

お客さまのビジネスだけでなく、営業スタイルもデザイン
KDDIビジネストランスフォーメーション

お客さまのビジネスだけでなく、営業スタイルもデザイン<br>KDDIビジネストランスフォーメーション

法人営業部門の組織体制を見直し、2021年に誕生したビジネスデザイン本部。
法人営業のメンバーはお客さまの現場を訪問し、お客さまとともに課題を見つけ、企画・スタッフ部門と連携しながらさまざまな課題を解決してきました。
そして2023年夏、お客さまへのさらなる提供価値の向上と、営業の生産性アップを目指した「KDDI-BX(KDDIビジネストランスフォーメーション)」プロジェクトが始動。大規模な組織改革に取り組むプロジェクトメンバーの皆さんに、立ち上げの背景や現在位置、今後目指す姿について話を聞きました。

■インタビュイー略歴


森 千鶴

森 千鶴

ビジネスデザイン本部 企画統括部 ビジネストランスフォーメーション戦略室 室長
飯島 遥

飯島 遥

ビジネスデザイン本部 企画統括部
高野 李江

高野 李江

ビジネスデザイン本部 企画統括部
小林 正佳

小林 正佳

ビジネスデザイン本部 ビジネスイノベーション推進部
坪倉 由樹

坪倉 由樹

ビジネスデザイン本部 エネルギー・運輸営業部

1. お客さまから信頼され、価値を提供しつづけられる組織へ

本プロジェクトが開始された背景について教えてください。

森:ビジネスデザイン本部では、組織改編を行う10年前から“課題解決型”の営業スタイルを目指して変革してきました。お客さまの現場に出向き、課題を深掘りしながら解決に取り組む法人営業は、AIが進化する中で「無くならない職業」の筆頭に挙げられている、クリエイティブかつ高度な仕事です。
しかし、市場環境が目まぐるしく変化する近年、データドリブンによる提案力の向上や、新しいメンバーが早期に成果を出せる環境整備が求められ、企画・スタッフ部門も含めた抜本的な組織改革が喫緊の課題でした。そこで2023年夏、幹部にも支援していただき、ビジネスデザイン本部の組織改革を行うバーチャル組織による改革「KDDI-BX」を立ち上げました。

KDDI-BXが目指すのは、データを基盤に実現する新世代の法人営業の世界

▲KDDI-BXが目指すのは、データを基盤に実現する新世代の法人営業の世界

プロジェクトチームの構成やモットー、目指す姿について教えてください。

森:現在は大きく6つのワーキンググループ(WG)に加えて、各WGから派生した個別のプロジェクトが複数立ち上がっています。メンバーが主体となってアイデア出しや施策の検討を行い、私は全体の取りまとめをしています。兼務・副業メンバーや、本部内外の営業・スタッフ部門のメンバーも含めると、参加メンバーは40名以上です。
特に大切にしていることは、「WOW&FUN」をコンセプトに、現場の皆さんを巻き込みながらボトムアップで楽しく、そして本気で取り組むこと。法人営業部門を「お客さまに価値を提供し、成長しつづけられる営業組織」にすることを目指しています。

KDDI-BXプロジェクトの体制。6つのWGが活動

▲KDDI-BXプロジェクトの体制。6つのWGが活動(2025年3月時点)

部門横断プロジェクトのため、営業現場からの兼務者や社内副業メンバーも参画。

▲部門横断プロジェクトのため、営業現場からの兼務者や社内副業メンバーも参画。
本音でディスカッションする「みんなのBXカフェ」、データ活用アイデアを議論する「BI活用ワークショップ」、KDDI-BXへの意見を投稿できる「目安箱」など、さまざまな参加機会を作り現場の意見を取り込みながらボトムアップでプロジェクトを推進

「このプロジェクトの裏テーマは、社内外の皆さんから『KDDIの法人営業ってかっこいい!』
『KDDIの営業組織で働きたい!』と思ってもらえる組織をつくることです」と熱く語る森

▲「このプロジェクトの裏テーマは、社内外の皆さんから『KDDIの法人営業ってかっこいい!』
『KDDIの営業組織で働きたい!』と思ってもらえる組織をつくることです」と熱く語る森

2. 現場メンバーの声を聞き、ブラッシュアップを重ねる

皆さんが本プロジェクトに参加されたきっかけを教えてください。

坪倉:私はエネルギー・運輸営業部の法人営業として、主に電力会社のお客さまを担当してきました。部内でのナレッジ共有やデータ活用に課題を感じ、営業業務の効率化に取り組む中で、本プロジェクトの公募について知ったのが参加のきっかけです。現在はプロセスWGのメンバーとして、営業活動の教科書となる営業プレイブック(メソッド)の作成などに挑戦しています。

飯島:これまで中堅・中小企業向けの法人営業として6年、コンシューマ(代理店)営業に2年間携わってきました。営業の仕事は、なんといってもお客さまと相対するのが一番の醍醐味です。しかし、KDDIが取り扱うサービスが多様化しており、現状は社内調整や事務処理などに追われて、思うようにお客さまとの対応時間がとれないことに問題意識を持っていました。「自分のキャリア成長のために、営業活動以外にも挑戦したい」という思いもある最中、本プロジェクトを知り公募で参加を決心しました。現在はプロセスWGで、お客さまとの対面時間を増やすために、営業の社内業務の効率化や削減に取り組んでいます。

小林:私は前職で運輸会社に勤めており、営業改革に携わっていました。1年半前にKDDIにキャリア採用で入社し、ビジネスイノベーション推進部 DX・AIビジネスグループに配属され、ビジネスデザイン本部内での生成AI活用推進に携わってきました。2024年3月からKDDI-BXに「AI活用WG」が加わり、DX・AIビジネスグループと統合するにあたり、本プロジェクトにアサインされました。現在は、お客さまへの提案プロセスの課題を、生成AIを活用して解決できないかと取り組んでいます。

「法人のお客さまの情報を管理する複数のシステムを横断的に検索できるシステムや、資料作成を補助するアプリなどの導入検討に取り組んでいます」と語る小林

▲「法人のお客さまの情報を管理する複数のシステムを横断的に検索できるシステムや、資料作成を補助するアプリなどの導入検討に取り組んでいます」と語る小林

高野:私は以前、技術部門で法人向け回線の海外運用に携わっていました。「今後のキャリアアップのためにも、データを活用した業務に挑戦したい」と思っていたところ、異動がチャンスとなり、本プロジェクトの旗揚げから参加しています。現在は、業務で利用されているシステムの大規模改革や、法人営業に関わるデータ利活用・基盤整備を担当しています。

プロジェクトを進めていて印象に残っていることはありますか。

坪倉:従来の法人営業は「先輩の背中を見て学ぶ」というスタイルでしたので、個々人のノウハウが組織全体で共有されづらい状況でした。時代とともに人財の流動性が増していく中、新しく入ってくるメンバーが早く業務に慣れて成果を発揮するためには、ノウハウの速やかなキャッチアップが必要です。
そこで、営業メンバーの教科書となる「プレイブック」を担当者向け・グループリーダー(以下GL)向けにそれぞれ作成しました。GL向けの「マネジメント版プレイブック」作成にあたっては、所属している営業部の部長とGLの協力を得て、ワークショップを実施。案件のフェーズごとの業務を、一つひとつヒアリングしリストアップしていきました。進行が拙く、聞き取りは6時間にも及んでしまいましたが、皆さん前向きに取り組んでくださり、ノウハウの標準化・体系化にむけて、とてもありがたかったです。

飯島:現在、法人営業がお客さまと相対できる時間は、業務時間全体のわずか23%です。これは日本企業の営業組織の平均的な数値と相違ありませんが、私たちは、お客さまとの深い関係構築を行えるよう、2027年4月までにお客さま相対時間を40%以上まで革新的に引き上げたいと思っています。お客さま相対業務以外の業務を効率化して、お客さまとの相対時間を23%から40%を目指す、「23→40プロジェクト」と銘打って取り組んでいます。取り組みの中で一番印象に残っているのは、社内での認識をすり合わせる難しさを痛感したことです。結果的には15の施策を立案し主管部署に説明していきましたが、「言葉の定義」や「課題に対する温度感」などは部署によって大きく異なります。大きなプロジェクトであればあるほど全体で正しく課題を捉え、企画・推進していくことに非常に苦労しました。

お客さまとの対話時間を拡大するとともに、付加価値の創出を目指す「23→40プロジェクト」。<br>2027年までに40%の到達を目指す

▲お客さまとの対話時間を拡大するとともに、付加価値の創出を目指す「23→40プロジェクト」。
2027年までに40%の到達を目指す

「取り扱う商材の幅がますます広がる中、商材ごとに異なっている業務フローを構造化して整理することで、部署や役割を超えたシームレスな業務プロセス改善が迅速に実行できる未来を目指していきたい」と語る飯島

▲「取り扱う商材の幅がますます広がる中、商材ごとに異なっている業務フローを構造化して整理することで、部署や役割を超えたシームレスな業務プロセス改善が迅速に実行できる未来を目指していきたい」と語る飯島

小林:法人営業の仕事は、調べ物が多いのも特徴の一つです。例えばお客さまへアプローチする前には、お客さまの情報や過去の商談内容・契約情報・業界のトレンドなどを確認した上で臨む必要があります。しかしながら過去の経緯からシステムが多く存在しており、すべての情報を得るためには複数のシステムを検索しなければならない状況にあります。そこで調べ物を効率化するために、AIを活用して複数のシステムを横断的に検索できる新たなAIエージェントの導入検討を開始し、まずは法人営業の業務を細かくお聞きすることから始めていきました。まだまだ社内知識が浅い中、業務フローや関係部署など、情報を集めて整理しながら進めていく過程は大変なものでした。

高野:小林さんの話にあるように営業の方にとって調べ物は欠かせません。私も「交渉成功率を高めるために、どの企業にアプローチすべきか」分析したデータを営業現場の方々にお見せした際に、「お客さまとお話しするためには、まずは商談前のインプットが必要だ」という声をいただいたことが印象的でした。現在、商談・契約・回線・運用状況・障害などの情報は複数のシステムに分散していますが、私たちはこれらのシステムを一つに統合した「One Biz」の実現を検討しています。例えば商談時の音声文字起こし・議事録作成ツールの導入時には、営業現場の方に複数のツールを体験いただくなど、現場メンバーを巻き込んでリアルな声を聞きながらシステム改革の検討を進めています。

9つの領域からなるシステムグランドデザイン「One Biz」を策定

▲9つの領域からなるシステムグランドデザイン「One Biz」を策定

「検討を進める中で、営業現場の方から『まさにこういうツールが欲しかった!』という声をいただくことも。所属する部署やクライアント業界が異なる皆さんのあらゆる要望に応えられる、柔軟なインターフェースを作っていかなければと感じています」と語る高野

▲「検討を進める中で、営業現場の方から『まさにこういうツールが欲しかった!』という声をいただくことも。所属する部署やクライアント業界が異なる皆さんのあらゆる要望に応えられる、柔軟なインターフェースを作っていかなければと感じています」と語る高野

3.多角的な改革で、社内外から評価される組織へ

今後ビジネス事業をさらに盛り上げていくために取り組んでいきたいことを教えてください。

坪倉:他の営業メンバーと比較して、自分の営業プロセスにどういった課題があるのかを把握し、改善できるような仕組みを今後作っていきたいと考えています。そしてKDDIの法人営業の市場価値を上げることで、世の中から「KDDIの法人営業はすごい!」と評価されるような組織にしていきたいです。

「この取り組みを通じて法人営業全体のスキルアップを果たし、お客さまからの評価を高めてKDDIの法人営業の“勝ちパターン”を作っていきたい」と語る坪倉

▲「この取り組みを通じて法人営業全体のスキルアップを果たし、お客さまからの評価を高めてKDDIの法人営業の“勝ちパターン”を作っていきたい」と語る坪倉

飯島:このプロジェクトを通じて、ビジネスデザイン本部を「部署を横断してシームレスに改革を企画・実行できる組織」にしたいと思っています。そのためには他部署からの協力が欠かせませんし、やるべきことも膨大です。「この業務はどの部署に依頼すれば良いか」など、初歩的な部分でさえもまだまだ曖昧なところがありますが、「話し合って」、「相互理解」を繰り返していきたいと思います。

小林:AI活用WGでは、AIエージェントを活用したシステム横断の情報検索だけでなく、AIが上司の視点で提案書をレビューし、質を高めてくれる「A-BOSS」や、AIによって資料作成を効率化するPoCにも取り組んでいます。これらの各サービスは、社内で磨き上げて、将来的には社外へ販売できるサービスにしていきたいと考えています。生成AIがKDDI社内の業務の中で当たり前に使われることで、AIがまだまだ浸透していないお客さま企業の課題や解決策の発見につながることを期待しています!

高野:システム改修はこれまで各所からたくさんの要望がありながら、なかなか実現できずにいました。そんな大規模な改革が、いよいよこれから本格的に始まります。こうしたシステムやツールは使われなければ意味がありません。営業社員が満足して使い続けられるよう、リリース後も各部署の利用者とコミュニケーションを取りながら、機能改善や新たな活用方法を考えていきたいと思います。

森:プロジェクトメンバーが前向きに取り組んでくれるので、「私もKDDI-BXのプロジェクトに参加したいです!」というありがたい声をいただいています。
KDDIの法人営業は、若手からベテランまで、一人ひとりが会社の代表として、KDDIやグループ会社のケイパビリティなどを幅広く学び、お客さまの事業に貢献できるように取り組んでいます。そんな法人営業の存在や活動を、少しでも知っていただけたらうれしいです。

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