カルチャー

2022/04/14

社員の声をカタチに。LGBTQ+支援により、誰もが働きやすい職場へ

社員の声をカタチに。LGBTQ+支援により、誰もが働きやすい職場へ

KDDIは、社会に向き合う企業として「ダイバーシティが基本」を掲げ、積極的にダイバーシティ推進に取り組んできました。中でもジェンダー平等への取り組みは、2005年頃から女性活躍や育児支援という形で始まり、その後LGBTQ+へと幅を広げて推進されています。
社会の動きに先駆けてLGBTQ+の推進に取り組んでいる理由や、目指す未来について、D&I(※注1)推進担当の大内さんと、取り組みを支える有志コミュニティ「KDDI ALLY(アライ)」メンバー 山口さんに話を聞きました。

※注1:D&Iとは、ダイバーシティ&インクルージョンの略。年齢・性別・国籍・障がいの有無・性自認といった違いを認め受け入れ、企業・組織として個人の力が発揮できるように働きかけを行っていくこと。

目次

■インタビュイー略歴


大内

大内 健太郎

人事本部 人事企画部 企画グループ
2020年入社。人事企画部で4名のメンバーとD&I推進担当を務める。主な仕事はLGBTQ+理解促進や障がいのある方の活躍推進、育児両立支援など。
山口

山口 明歩

パーソナル企画統括本部 カスタマーサービス推進部 統括グループ
2018年入社。auやUQ mobileといった個人のお客さま向け携帯電話事業の「お客さまセンター」の運営を担当。昨年1年間は社内副業で、SDGsの社内浸透施策の実施に携わる。

LGBTQ+支援で目指す、誰もが働きやすい職場

LGBTQ+支援で目指す、誰もが働きやすい職場

会社としてLGBTQ+を支援するに至った経緯を教えてください

大内:KDDIでは、2005年頃から女性活躍推進を皮切りに社内での取り組みがスタートしました。2007年には、専任の組織である「ダイバーシティ推進室」が発足し、障がいのある方の活躍推進にも力を入れて取り組んできました。

2013年頃、社員相談センターに寄せられた、トランスジェンダー当事者の社員からの「自認する性で働きたい」という相談をきっかけに、LGBTQ+施策に取り組み始めました。

LGBTQ+への理解促進には、まず正しい知識を持つことが必要と考え、人事の責任者や企業倫理担当者を対象にセミナーを開催し、一人ひとりが安心して働ける職場風土の醸成を目指しました。

その後、2017年には社内規程上の配偶者の定義を変更し、同性パートナーを配偶者として取り扱う「同性パートナーシップ申請」を導入。2020年には同申請をしている社員から、将来的に子供を持ちたいという相談を受けたことをきっかけに、当該社員に親権がない場合でも、法律上の制約がある場合を除き、社内制度上「子」として扱う「ファミリーシップ申請」を導入するなどの取り組みを続けてきました。

LGBTQ+支援で目指す、誰もが働きやすい職場

LGBTQ+を推進することで、どのようなことを実現しようと考えたのでしょうか

大内:目指したのは、すべての社員が自分らしく活き活きと働ける環境の実現です。それが仕事をする上で一番の基本ではないでしょうか。その基本が、周囲からの偏見や理解が得られないことなどの理由で失われ、その方の本来の能力が損なわれたり発揮できなかったとしたら、会社として大きな損失です。

自分らしく仕事をするための環境が整ったうえで、お互いを尊重しあい、さまざまなバックグラウンド・価値観を持つ人たちがインクルージョン(尊重)することでイノベーションが生まれ、会社の持続的な成長が実現できるのだと思います。

また、私たちの取り組みが社外にも波及することで、ほんの少しでも社会をよりよくすることにつながればいいと思っています。

LGBTQ+当事者のコメント
「働きやすさはもちろん、生きやすくなりました」
LGBTQ+推進の取り組みのおかげで、自分が希望する性で会社生活を送れるようになりました。性別・名前と見た目が合わないことで業務以外のストレスが大きかったのですが、それらが解決したことで、上司や同僚との人間関係もさらに深まり、働きやすさだけでなく、生きやすくなったと感じています。

理解者・支援者を増やすコミュニティKDDI ALLY

理解者・支援者を増やすコミュニティKDDI ALLY

KDDI ALLYはどのような組織ですか?

大内:KDDI ALLYはLGBTQ+当事者の方との交流や情報交換を通じて、LGBTQ+を身近に感じ、より踏み込んだ理解へとつなげ、「行動するALLY」を増やしていくことを目的に、2020年に立ち上げられたコミュニティです。

現状では当事者だけで声をあげるのはまだ難しいと考え、社内に支援者(ALLY)を増やすことで、「支援されている」「理解してくれる人がいる」という空気を醸成し、LGBTQ+にポジティブな職場環境を作り、企業文化を変えていこうと考えています。

山口:私は昨年1年間、社内副業でSDGsの社内浸透施策に携わっていました。KDDI ALLYの活動は、「誰も置き去りにしない」というSDGsの理念に深く関わっていることから興味を持ち参加しました。まずはメンバーになり、知ることから始めたいと思っています。

KDDI ALLYの活動内容を教えてください

大内:現在、ALLYには46名の有志社員が参加しており、もちろん中には当事者の方もいらっしゃいます。コロナ禍の影響でオンラインでの活動が中心ですが、LGBTQ+に関するニュースやイベント情報をメンバーがチャットに投稿し、それに互いにコメントを書き込んだりしています。 また、定期的にランチミーティングを実施して交流を深めたり、時には専門家の方を招いて座談会を開催しています。

山口:大内さんに誘われて、「当事者の気持ちを動画で考えよう」というワークショップに参加しました。そこで見た動画は、LGBTQ+の当事者が職場でどのような経験をするかを描いたものです。

「周りに理解者がいない」設定の動画では、当事者の感情の変化が痛いほどわかりました。もし私だったら、小さい嘘を吐き続けて最終的には自分の居場所がなくなるような気持ちになるだろうと感じました。

大内:逆に、「当事者のパートナーが理解のある職場で働いる」設定の動画もありましたね。当事者がパートナーの職場の飲み会に参加してみたら、自分たちのことをオープンに話せる雰囲気で、とても居心地が良かったというものでした。

山口:それらの動画を見て、心理的な安全性を持てる職場でこそ安心して自分の力を発揮できるし、そういう支援をしてもらったとしたら、自分も頑張って仕事をしたいと思うだろうと感じました。そして、一人ひとりの社員が安心して働ける環境を、一番に実現しなければならないと理解できました。

3000名が賛同。PCにALLYステッカーを貼る社員も

3000名が賛同。PCにALLYステッカーを貼る社員も

すべての社員が安心して働ける環境に向けて取り組むのはどのような理由でしょうか?

大内:社員一人ひとりが安心して働ける環境を整えれば、より能力を発揮することができ、それが最終的には会社の成長につながると考えているからです。

山口:KDDI の企業理念には「全社員の物心両面の幸福」ということが第一番目に掲げられているんです。LGBTQ+推進の取り組みは、その理念の表れだと私は思っています。

大内:今後もALLYコミュニティのメンバー内でLGBTQ+の知見や理解を深め、メンバーが自分の部署内にも発信していくことでALLYの輪を広げていきたいと考えています。

LGBTQ+という言葉自体の社内での認知度は98%(2020年調査)と高まっているのですが、一方でALLYという言葉の認知度はそこまで高くないのが現状です。より多くの社員に認知してもらうために、さまざまな活動を通してALLYの考えや企業に与える影響を伝えていきたいですね。

また、ALLYの考えに共感いただいた方に「KDDI ALLYステッカー」をお配りしており、現在までで約3000名の社員に賛同いただいております。このステッカーをパソコンなどに貼っている方を見ると、嬉しいと感じる方もいらっしゃいます。少しずつでも心理的な壁が無くなっていると感じてもらえると良いですね。

LGBTQ+当事者のコメント
「うれしさ、安心、感謝を感じます」
まわりから否定されることが気になるので、KDDI ALLYのステッカーを貼っている方を見ると、「この人は受け入れてくれているんだ」と安心し、うれしさも感じます。意思表示をしてくれてありがとうという感謝の気持ちも抱きますね。

3000名が賛同。PCにALLYステッカーを貼る社員も
3000名が賛同。PCにALLYステッカーを貼る社員も

今後、どのようなことに取り組みたいですか

大内:LGBTQ+を含め、ダイバーシティは特別なものではなく私たち全員に関わることです。全社員が「ジブンゴト」として捉え、それぞれの個性や考え方を互いに尊重しあう風土を築くことができれば、より素敵でより成長できる会社になると信じています。

auのCMにもありますが、「みんなちがう、だから面白い」を意識し、社員一人ひとりに向き合っていきたいと考えています。

山口:ALLYに参加してはいますが、まだまだ勉強中です。受動的に情報を受け取ることが多いのですが、今後は自ら発信していけるようになりたいです。また、「行動するALLY」として、私の行動が誰かの心に響いて、その人が行動を起こすという、「行動の連鎖」のきっかけになれればと思います。 そしてALLYの参加者をもっと増やしていきたいですね。

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