採用

2022/12/15

現場からジョイントベンチャーの副社長に。 KDDIと三井物産のアセットを融合し、事業を立ち上げ

現場からジョイントベンチャーの副社長に。 KDDIと三井物産のアセットを融合し、事業を立ち上げ

多角的な事業を展開するKDDIでは、さまざまなキャリアパスの可能性が広がっており、その一つが"ジョイントベンチャー"です。今回の記事では、KDDIの顧客でありビジネスパートナーである三井物産と株式会社GEOTRA(ジオトラ)を設立し、副社長に就任した鈴木宙顕さんと、三井物産出身の陣内社長にインタビュー。ゼロからのベンチャーではなく、KDDIという大企業から出向してジョイントベンチャーを立ち上げる意義や今後の展望に迫ります。

■株式会社GEOTRAとは

GEOTRA


2022年5月に三井物産とKDDIのジョイントベンチャーとして設立。
スマートシティやカーボンニュートラルなど、社会のサステナビリティの実現には精緻な人流分析による都市課題の解決が必要と考え、人流をウェブ上にデジタルに再現するプラットフォーム「GEOTRA Activity Data」を開発。プロダクトの高い有意性と高い分析力が評価され、設立より半年で10社以上のお客さまからご契約頂いている。


株式会社GEOTRA(ジオトラ)

目次

■インタビュイー略歴


陣内

陣内 寛大
(三井物産株式会社)

GEOTRA 代表取締役社長
大学院で基礎工学を研究した後、2018年に三井物産へ新卒入社。経営企画部のデジタルトランスフォーメーションチーム(現・デジタル総合戦略部)に配属され、DX関連事業立ち上げや全社DX戦略の策定等を担当。KDDIとの合弁会社であるGEOTRAを立ち上げ、社長に就任。
鈴木

鈴木 宙顕
(KDDI株式会社 ソリューション事業本部 ビジネスデザイン本部)

GEOTRA 代表取締役副社長
2002年にKDDI入社。ソリューション事業本部で位置情報ソリューションのサービス企画を担当した後に、法人の直販営業、営業推進、DX推進を歴任。2020年度に発足した新規事業開発(共創ビジネス)推進プロジェクトに携わる中で、三井物産との共創ビジネスに従事。2022年5月にGEOTRAを設立するとともに、副社長に就任。

“ソリューション”から、“事業創造”という新たな挑戦

“ソリューション”から、“事業創造”という新たな挑戦

GEOTRA設立前は、それぞれどのような業務をされていましたか?

鈴木:私は2002年にKDDIへ入社し、当時最先端だった位置情報ソリューションのサービス企画を担当した後、法人の直販営業や営業推進の部署を経て、直近の5年間はお客さまのDXを推進する部門に所属していました。

5年前のKDDIはDX事業の黎明期で、製造業のお客さまを担当していた私は、お客さまの工場で“工場IoT”を実現しようと取り組んでいました。例えば「この機械が止まると、工場全体に影響が出る」という課題に対し、振動センサーなどを取り付け、クラウドで分析するような仕組みを提供していました。まさに、今の”スマートファクトリー”の走りです。

さらに、ソリューション事業本部では3年ほど前に、“お客さまへの直接のDXソリューションのご提供”にとどまらず、DX分野でお客さま企業との“ビジネス共創”に取り組む方針を打ち出しました。ビジネス共創の検討を進める中で、今回縁があって三井物産さまと新しい事業を興すことができました。GEOTRA設立は、KDDIのソリューション事業本部にとって大変意義深いもので、現場からのボトムアップによるDXのビジネス共創としては初の実例です。

上層部や上長からは「事業化を打ち出した社員に、責任と権利をもって事業参画してほしい」という期待をいただいており、ありがたいことに当時担当者だった私に副社長を任せていただけました。GEOTRAの事例は、ソリューション事業本部の中で「若い人でも事業化を打ち出せば副社長にもなれる」というモデルケースになれたのではないかと感じています。

陣内:私は、大学院でコンピューターサイエンスやロボティクスを研究した後に、新卒で三井物産に入社しました。新入社員としては珍しく経営企画部のデジタルトランスフォーメーションチーム(現:デジタル総合戦略部)に配属され、DX戦略の担当として全社のDX戦略立案や、AI企業等と連携した新規事業の開発等を担当していました。

2020年からはスマートシティ関連の事業開発を考案するようになり、より精細で高度な街づくりを実現するには、人流データを活用する必要があると考え、KDDIさまにお声がけしました。

なぜ、三井物産さまは事業パートナーにKDDIを選ばれたのでしょうか?

陣内:まず、KDDIさまが保有する「KDDI Location Data(KLD)」が、他社と比べて高粒度なGPSベースの位置情報で、構想していたアルゴリズム開発に必要だと考えたからです。

また、KDDIさまは「∞(無限)ラボ」や「KDDI DIGITAL GATE」など、スタートアップに出資する先進的な活動をされているのは以前から知っていたため、他通信キャリアに比べて0⇒1の事業創出やベンチャーのインキュベーションが得意という印象がありました。

お二人は以前から、起業を志していたのですか?

陣内:はい、私は事業家を目指していました。学生時代はスマホアプリなどを作っていたのですが、自分でプロダクトを企画開発して事業化し、世の中に提供したいという思いがありました。

鈴木:私は入社当時から常に「挑戦する側でいたい」という気持ちはありました。KDDIは当時から「挑戦する会社」としてスローガンを掲げていたので、そこに惹かれて入社した経緯があります。私は社会人になって営業の経験が一番長いのですが、常に挑戦する意識を持ち続けるために、KDDIでしかできないお客さまの課題解決の提案を心がけていました。

私にとって今回のビジネス共創は、「もとから起業を志していた」というより「挑戦を続けていたらここにたどり着いた」というイメージです。お客さまの課題解決を続けていたら、陣内さんたちに出会うことができた。陣内さんたちとのお付き合いの中で社会の課題解決を考えるようになり、社会の課題解決のためには三井物産さまとKDDIがしっかり手を取り合って起業する必要があったのです。

三井物産の“都市開発”知見×KDDIの“データ”アセットの融合

三井物産の“都市開発”知見×KDDIの“データ”アセットの融合

GEOTRAの設立が実現した背景にはどんな要因があったのでしょうか?

陣内:KDDIさまに初めて事業計画を提案したのが、2020年8月のことです。その後、経営幹部、部長レベル、担当レベル(陣内、鈴木)と各レイヤーで密にコミュニケーションを行い、両社の考えや認識のズレを一つずつ丁寧に解消していけたことが大きいです。

そして何より、プレセールスを通じて60〜70社に提案し、施設の利用状況やMaaS導入前のシミュレーションに活用したい、などのニーズを確認できたことが最大の要因だと思います。

鈴木:陣内さんにご提案いただいた時期が、ちょうどKDDI社内で”ビジネス共創”の機運が高まっていたタイミングだったこともすごく良かったですね。お話をいただいた当初は、事業創造のプロフェッショナルである三井物産さまに勉強させてもらおうという意識で向き合っていました。

設立までの約2年間は、サービスのプレ開発やお客さまへのプレセールス、事業化に向けた承認や設立準備など目まぐるしく活動していました。三井物産さまとは「お客さまに認めてもらえることが一番大事」と意見を合わせて活動をしていました。営業活動の結果、事業開始前から当社のサービスにご興味をお持ちいただいた渋谷区さま、三菱地所さまからご契約をいただきました。陣内さんもおっしゃっていた通り、多くの企業に提案する過程でニーズを確認できたことで、設立に向けて自信を持って進めて行けたと思っています。

大企業のジョイントベンチャーとして事業に関わるメリットは?

陣内:親会社の信用力や、ネットワーク力を利用できることです。特に、一般的なベンチャーでは、リード顧客の獲得に最も苦労すると考えられますが、三井物産とKDDIの合弁会社という特性上、親会社のネットワークを活かせますし、そこからいかにレバレッジさせられるかが大企業ジョイントベンチャーの成功の肝だと感じます。

鈴木:多くのベンチャー経営者とお会いして話を伺うと、資金調達や株主向けの事業計画、経理・法務等の経営・事業における業務など、業務内容が非常に多岐にわたる、と仰っています。一方、ジョイントベンチャーの場合は資金調達の担保がありますし、法務業務や会社の規定の準備なども親会社のノウハウを借りることができます。つまり、リスクや附帯業務を最小化し、ビジネスに専念できることがジョイントベンチャーの最大のメリットではないかと思います。

両社の強みはどのように活かせていると感じますか?

鈴木:KDDIの持つデジタル・ソリューションの知識と、三井物産さまの持つ事業経営ノウハウ、都市計画・都市開発の知見など、両社の強みを取り入れた事業経営ができていると感じています。
GEOTRAの事業は、デジタルの知識だけでも、都市開発の知見だけでも成立しないので、まさに両社のケイパビリティの結晶だと思っています。

陣内:また、位置情報データの活用には新しい潮流が来ていて、その都市開発における課題解決に取り組めている国内企業は、私の知る限り存在しません。GEOTRAの事業は、KDDIレベルのデータアセットがないと実現できないので、国内で他企業が同様の事業を立ち上げるのはかなり難しいことだと考えています。

KDDI×三井物産だからこそ、世界展開を目指す

KDDI×三井物産だからこそ、世界展開を目指す

GEOTRAの今後の目標を教えてください。

陣内:順調に引き合いをいただいていますが、目の前のお客さまへ価値を提供し、利益を上げることに集中したいと考えています。そして今後は、人口が爆発的に増加しているアジアの都市など、海外への展開も一つの目標です。

鈴木:まずは三井物産・KDDIのグループ会社として、しっかり存在感を出していきたいです。具体的には、三井物産・KDDIのソリューションにはGEOTRAがいつも組み込まれているような。三井物産・KDDIと言えばGEOTRAと言われるような、そんな企業になりたいと思っています。

どうすればGEOTRAのような挑戦ができますか?

鈴木:KDDIでは、「KDDI DX University」のようなステップアップできる環境があります。私自身も「KDDI DX University」の卒業生ですが、そこで得た知識は今でも私の基礎となっています。事業創造を目指す人にはKDDIの人財育成プログラムを積極的に活用して、基礎的な知識をしっかり身に付けてほしいと思います。いくら起業したいと思っても、基礎がままならなければ「掛け声」だけになりかねません。

私自身も、まだまだ足りないですが、KDDIのプログラムを活用してさまざまな知識を身につけました。学習を継続していくと、三井物産さまのような豊富な知識を持たれる方々とも対等にお話ができるようになります。学習の継続と、色々な方にお会いすることを繰り返すうちに、自分だけでは考えつかない事業に携わらせていただくことになりました。今は新入社員の時のようなまっさらな気持ちで仕事に取り組んでいます。

また、これまで大事にしてきた挑戦する意識がなければ、都市人流を再現することの重要性に気付けなかったと思います。なので、若い方々には「自分の仕事はここまで」と範囲を決めずに、「こういうことやりたい!」という気持ちを持って枠組みにとらわれないチャレンジしてもらいたいです。後ろ盾がありながら挑戦できる環境は、本当に恵まれていると思います。ぜひ一緒にチャレンジしましょう!

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