キャリアについて聞かせてください。
前職では通信メーカーで開発職に従事しており、その後2009年12月に司法修習を修了すると同時に中途でKDDIに入社し、以後、法務部で勤務しています。法務部では、グループ会社を含む全社から寄せられる契約相談、法律相談の対応を行う他、訴訟・紛争・プロジェクト案件のサポートを実施していますが、私自身はM&A案件の取り纏めをしていることもあり、出資案件から組織再編案件まで数多くのM&A案件の法務対応業務に関わってきました。2017年にグループリーダーになってからは、部内での業務のアサイン、グループの取りまとめなども行っています。また、最近は、グループ会社への法的支援のための体制作りや、電子契約導入検討なども実施しています。
プロジェクトや普段の仕事で成長した点を教えてください。
KDDIでは様々な分野の会社との協業・提携やその延長のM&A案件が多いこともあり、デューディリジェンス(企業の価値やリスクなどの調査)から契約交渉、ガバナンス体制構築、PMI(効果最大化のための統合プロセス)としての提携支援まで一連のM&Aに関する法務業務に携わってきました。当初の資本業務提携契約で関わった会社が、業績を上げ、施策で反響を呼んでいるのを見るとやはり嬉しいですが、うまくいく企業間提携には、互いの役割分担のもとに双方の提携目的が実現できる仕組みと信頼関係があると感じます。法務がこの仕組み作りに貢献するには、法的知見だけでなく、自社の方針や事業目的を十分に理解し、フェアネスの精神をもって関係者の利益に配慮しながら契約の枠組みや条件の検討を行うなど、柔軟でプロアクティブな対応が欠かせません。
時に社内の調整役や交渉推進役になるなど、法的対応と状況に応じた+αを発揮して関与した案件が無事成就した際には、法務パーソンとして少し前進できたのではないかと感じますが、日頃の法務相談で事業部門から感謝されることが日々のやりがいになっています。
今後挑戦しようとしていることは何ですか?
イノベーションの進展、循環型社会の実現に向けたビジネスモデルへの転換など、経営環境が変わり、リーガルリスクが複雑化・多様化しているため、法務部門に期待される役割も増えています。まずは、コロナ禍で一気にニーズが顕在化した、電子契約・リーガルテックの導入を可能な限り早期に実現し、活用方法を探っていきたいです。並行して、法務メンバーの各法領域の専門性を高め、各事業部とより密に連携を行い、適時のサポートができる体制を作っていきたいと考えています。
また、個人の中長期の目標として、自身のルーツである技術系のバックグラウンドと業務系の知見を融合させて、技術と業務の両面から事業・会社の方向性を検討できるようになりたいと思っています。現在、データ分析と量子コンピューティングをかじっていますが、データ分析の考え方や用語などは、実は既にかなり日常会話に組み込まれており、学習しない手はないと感じています。