キャリアについて聞かせてください。
入社から2017年までは、運用本部モバイルオペレーションセンター(現場研修)に所属しており、基地局ソフトウエア更新・新規設備導入業務を担当していました。お客さま体験に直接関わる通信品質をより高めるために、ベンター・社内関係者と連携し、常に先進技術の検証・導入を行っていました。
2017年からはKDDI総合研究所データインテリジェンス部門にて、AIによるお客さま体験価値の向上に関する研究を挑戦し、論文や特許などを次々生み出しています。特に、ある領域で学習した知識を別の領域への再利用を可能とする「転移学習」の研究開発では、採択率10%未満の難易度の高い国家プロジェクト(CREST)に、阪大・名大の研究者との共同チームが採択され、産学連携チームでも活動しています。今年から始まるKDDI総合研究所と海外最先端の研究者との共同研究プロジェクトのうち、南カリフォルニア大学(USC)とのプロジェクトで主担当を務め、先端のマルチモーダル時空間データ解析AI技術を研究し、よりスマートな社会の実現を目指しています。
プロジェクトや普段の仕事で成長した点を教えてください。
KDDI総合研究所での、国内外の大学との共同研究です。学生時代は無線通信について研究を行っていましたが、入社後運用部署での現場研修を通じて、AIの価値を身近で感じることができました。その後KDDI総合研究所に本配属され、AIに関する研究をチャレンジしたくデータインテリジェンス部門を希望しました。希望通り配属された後、すぐに国家プロジェクトの提案に参画させてもらいました。本社とグループ会社と連携し社会的・産業的に価値の高い課題を洗練しながら、共同研究先の大学との検討も開始しました。最初は知識が浅くあまり議論できませんでしたが、社内外の関係者にご指導・激励をいただき、日々努力を積み、少しずつ議論・提案できるようになりました。さらに、今年から時空間データ解析分野で世界トップレベルの研究を進めているUSCのYan Liu先生の研究室と共同研究を開始し、先生とのディスカッションだけでなく、PhDの学生とも日々連携しています。先方のレベルの高さに刺激を受け、知識だけではなく、研究・コミュニケーション能力なども大きく成長しました。KDDIでは、やりたいことに挑戦でき、周囲から常にサポートが得られるような環境が揃っていると思います。
今後挑戦しようとしていることは何ですか?
AI先端基礎研究において、世界トップクラスの成果をあげたいです。理論・ハードウエア・ソフトウエアの発展とともに、AI活用領域・価値は急速に拡大しています。KDDIが持っているさまざまなデータを利活用して、KDDIサービスのお客さま体験価値の向上や多様な課題を解決するためには、AI先端技術が不可欠です。また、AI先端技術の基礎研究はKDDIサービスだけではなく、スマート社会の構築にも貢献できます。現在、特定の課題に対するAI解決方法が盛んに研究されていますが、広い領域に利用できる汎用型AI技術はまだ基礎研究の段階にあると考えられます。私は、既存AI技術の高度化・汎用化から、汎用型AI技術を目指し、世界トップレベルの研究者をはじめ国内外のAI研究者と連携することで、世界トップクラスの成果を数多く創出したいと考えています。