PROJECT

「空が見えれば、どこでもつながる」の実現へ
~KDDIが挑む社会課題の解決と新たな通信価値の創造~

光回線や5Gなどの高速通信環境が全国的に整備され、通信の利便性が飛躍的に向上しているように見えます。
しかし、日本は山岳部や島しょ地域が多く、地理的条件や自然環境の制約により、通信インフラの整備が難しい地域や状況が依然として存在します。さらに、災害や有事の際にも、通信環境を提供し続けることへの課題も残されています。
こうした社会課題の解決に取り組んでいるのが、KDDIの「Starlinkプロジェクト」チームです。本記事では同チームメンバーの皆さんに、プロジェクトの背景や具体的な取り組み、そして今後の展望について話を聞きました。

MEMBER

  • 長里 天羽
    長里 天羽
    事業創造本部
    LX基盤推進部
  • 竹村 良英
    竹村 良英
    コア技術統括本部
    技術企画本部
    衛星統括部
  • 菅原 慶太郎
    菅原 慶太郎
    ビジネス事業本部
    ビジネスデザイン本部
    企画統括部
    グループリーダー

※掲載されている情報は、撮影当時のものとなります。

KDDIにおける「Starlinkプロジェクト」とは?

長里

Starlinkは、スペースX社が開発した衛星ブロードバンドインターネットです。数千機の低軌道周回衛星によって提供されており、従来の衛星通信サービスに比べても、大幅に高速かつ低遅延のデータ通信を実現しています。KDDIは国内初の「認定Starlinkインテグレーター」です。
プロジェクトの目指す姿をひと言で表すのであれば、スペースX社とKDDIのアセットを組み合わせた新たな通信サービスの提供によって、「空が見えれば、どこでもつながる」を実現すること。竹村さんは各種サービスの技術的・制度的側面から通信環境整備や必要設備の導入、菅原さんは国内法人マーケットシェアの獲得・拡大に向けた営業戦略や災害対応支援の旗振り役を、私は全社プロジェクトにおける統括・リード及び新規ビジネスの開発を担っています。

STARLINK 2022.12 au通信網で利用開始 au基地局のバックホール回線に利用

そもそもこのプロジェクトがスタートした背景・経緯は?

長里

日本国内においては、すでに人が住む場所のほとんどで高速通信環境が整ってきているため、お客さまにとって「つながること」は当たり前の日常です。しかしながら、重要な社会インフラを支えるトンネル・ダムの工事現場や超高層ビルの建設現場、陸地から遠く離れた海上、多くの人が集まる音楽フェスや花火大会など、お客さまが「つながりたい」と思われる場所はまだまだ存在しています。「つながらない」状況は、労働環境問題や緊急通報ができないなどの安心・安全面の不安を招き、DX化を停滞させる要因にもなっています。レジャーを楽しむお客さまにとっては、「つながる」日常と異なることは利便性を欠きます。そういった社会課題をいかに解決するかという議論が、Starlinkプロジェクトが発足した背景にはありました。

竹村

「低軌道衛星の通信技術を活用する」という構想はかなり以前からあったのです。ただし低軌道衛星通信の場合、高速通信が可能になる一方で、抜け目なくエリアをカバーするためには静止衛星に比べて膨大な衛星数が必要になるなど、実現が難しい側面もありました。そんな中で変革をもたらしたのが、スペースX社でありStarlink。1社単独でこれだけの大規模な衛星ネットワークを構成できたというのは、まさに時代を大きく変える出来事だったと言えるでしょう。KDDIとしては、お客さまに対してこのStarlinkを活用したより良いサービスを提供したいという想いがありました。

菅原

KDDIは前身のKDD(国際電信電話)から数えて60年以上にわたって国際衛星通信を手掛けてきた実績※もあり、スペースX社から信頼を獲得できたと考えています。もちろん、実際にパートナーシップを組む上では日本という国の性質や、新たな衛星通信サービスの必要性などをお伝えすることも心掛けていました。国内初の「認定Starlinkインテグレーター」であることは、チーム一同とても誇らしく思っています。 ※KDDI、国際衛星通信60周年のお知らせ

プロジェクトを推進していく上で大変なこと、その乗り越え方は?

長里

Starlinkプロジェクトは新たな取り組みであるため、予想外の出来事が発生することも少なくありません。それでも着実に前進できているのは、私たちプロジェクトチーム全員に共通した軸があるからです。それは、Starlinkが素晴らしい技術・サービスであり、これを日本国内に浸透させていくことが、大きな社会的意義を持つものだという認識。何らかの要因で進行が滞ってしまいそうになった際には、必ずこの原点に立ち戻ることを私自身も意識しています。

竹村

技術的な観点で言えば、低軌道衛星をバックホールに用いる方式を採用したことのある会社自体がなく、もちろんKDDIとしても前例のない取り組みだったため、最初は社内でも「auとしての品質に耐えうるものなのか」などといった不安の声があったことは事実です。だからこそ幾度も技術検証・試験を繰り返し、時には現地へ赴いて検証などを行い、結果をデータで示すことで、段々と周りの理解を得ていくことができました。その行動の根本にはやはり、長里さんの挙げている「共通の軸」がありますし、社会がより良く変わっていくその大きな変革を、実際に肌で感じながら仕事ができていることに、私自身とてもワクワクを感じています。

菅原

衛星通信で本当に高速通信が可能になるのかという疑問は、法人のお客さまからも多くお声があがっていました。これまで衛星通信は緊急時の電話さえできればよい、という位置付けだったからです。しかし、Starlinkは一度体験すれば「こんなに速度がでるんだ、これなら非常時にもオンライン会議ができる!」と通信品質にご納得いただけることが多いため、まずは認知度向上を第一にご提案を行ってきました。全国で開催される業界フェアや体験会・説明会にも積極的に出展し、70回超のお客さまへの実演を行った結果、約1年間で延べ5,000件超の問合せや・商談の獲得に成功。地道な営業活動にはもちろん大変なこともありましたが、着実にStarlinkへの認知・信頼が広まってきていることを、今では強く実感しています。

今後、Starlinkプロジェクトが社会に与える影響は?

長里

Starlinkプロジェクトは、通信環境の整っていない山間部や島しょ地域、海上など、通信インフラの構築が難しいエリアに、都市部と遜色のない通信体験を提供することで、時代に合った働き方や生活のあり方の可能性を広げます。 また、日本は災害が多い国ですが、万が一のときにスマホが使えなくなっても、Starlinkを通じて高速通信を確保できるので、最後のつながりとして大きな役割を果たします。 さらに、日常の通信インフラが不十分な地域だけでなく、フェスやレジャーイベント、船上やキャンプ場など、一時的に通信が必要な場所にも対応できるのが大きな特徴です。 このように、日本全国どこでも安定した通信環境を提供できることが、本プロジェクトの大きな価値だと考えています。

竹村

働き方改革と近しいもので言えば、場所にとらわれないDX化の推進という観点でも大きな意義を持つと捉えています。例えば、山間部の建設現場において、安全管理や情報伝達をより効率化させることができたり、海上での通信環境が改善することで、船舶管理業務をより正確かつ円滑に行うことができたり。もちろん、それらは現在時点で想定している利活用ケースであり、Starlinkが実現しうる社会課題の解決やサステナブルな循環にはまだまだ多くの可能性があると思っています。

小山屋Wi-Fi 2023.5 白馬村 八方池山荘にて提供開始
菅原

私は、災害対応を強化するうえでStarlinkの意義は非常に大きいと考えています。災害時に被災者の方々が最も望むのは、大切な家族や友人と連絡を取り合い、無事を確認することです。その願いを叶えるためには、通信インフラの迅速な復旧が欠かせません。 Starlinkはその高い機動性を生かし、災害時の重要なライフラインである通信網を早急に復旧させることができます。実際に、私自身は2024年1月に発生した能登半島地震の際に避難所を訪れ、Starlinkによる公衆Wi-Fiの設置※を行いました。10日間ぶりに通信が復旧し、被災者の方々が大切な人たちと連絡を取ることができた瞬間、安堵の表情を浮かべる姿は今でも忘れることはできません。
こうした災害時にも「当たり前につながること」を迅速に実現できるのがStarlinkです。災害大国とされる日本だからこそ、その重要性は高まっているのではないでしょうか。

こんな想いを持ったひとと、一緒に働きたい。

長里

「人間らしさ」を兼ね備えたひとと、一緒に働けたら嬉しいです。「人間らしさ」とは、言い換えるのであれば「熱意」。自分の成し遂げたいことや実現したい未来に対して、強い熱意をもって、実行していくことが非常に重要だと思うからです。一人で成し遂げられることには限界があります。また、大きなことを成し遂げていく際には、様々な困難に直面します。その中でも強い熱意をもって、周りの理解・協力を得ながら、成し遂げていく推進力・実行力はこれからの時代にはとても重要だと考えます。加えて、日常や社会に対してアンテナを張り、「こんなことが解決出来たらいいな」といった課題意識を持てることも大切だと思っています。例えば、「この鉛筆が思ったことを自動で書いてくれたらいいのに」といった小さなアイデアでもいいのです。あとはそれを自らの熱意に紐づけて周りを巻き込んでいけるかどうか。KDDIは、そういった気概が歓迎される会社だと私は思っています。

竹村

「信念を持って、自ら考え、行動できる」。そんなひとが仲間になってくれたらと思っています。これはKDDIに限った話ではありませんが、ただ指示を待つだけという方は、淘汰されていく時代です。そんな現代をビジネスパーソンとして生きていく以上、まずは自ら考え、チャレンジできるかどうかがとても大事だと思います。もちろん、後から振り返れば失敗だったなんてこともあるかもしれませんが、新しいことに挑戦するための決断が合っているか間違っているか、その時その場で正確に判断できる人なんていません。だからこそ、まず大切にしてほしいのはあなた自身の信念です。その信念のもと、「○○だから私はこれをやりたいんだ」という意思をしっかりと発信し、行動できるひとであれば、きっと当社でも活躍できると思います。

菅原

竹村さんの話にも近しいですが、「まずやってみよう」と思えるひとと、一緒に仕事がしたいと私は思います。というのも、KDDIは事業領域が広いだけでなく、日々の変化も大きいことが特徴であり魅力のひとつ。Starlinkプロジェクトひとつをとっても、日々改善や修正が行われている状況です。そんな環境下で、机上で正解を探し続けて動けないよりは、とりあえず一歩を踏み出せることがどれだけ大切か、きっと想像に難くはないと思います。うまくいく、うまくいかないは仕事を進めながら判断して、うまくいかなければ修正していけばいい。それくらいの心持ちで、一緒に前進していける仲間が増えてくれたら、個人的にもきっとワクワクしながら仕事ができるんじゃないかなと思います。