PROJECT

未知なるAIデータセンター構築への挑戦

AIが社会のあらゆる場面に浸透する中、日本の大切な情報を国内で安全に守りながら活用する「データ主権(ソブリン性)」の重要性が高まっています。KDDIはこの社会的なニーズに応えるべく、国内最大級の計算基盤を備えた「大阪堺データセンター」を開所しました。

既存の工場跡地を最大限に活用し、驚異的なスピードでの立ち上げを実現した前例のないプロジェクト。今回は、このプロジェクトに参画している4名のメンバーに、KDDIが取り組む意義やそれぞれの役割、そしてこのインフラが切り拓く日本の未来像について話を聞きました。

MEMBER

  • 浅野 慶太
    浅野 慶太
    先端技術企画本部
    サービスプラットフォーム企画室
  • 門馬 克敏
    門馬 克敏
    プロダクト本部
    クラウドサービス企画部
  • 福本 創太
    福本 創太
    ビジネスイノベーション本部
    ビジネスイノベーション推進3部
  • 山城 奈緒
    山城 奈緒
    グループ戦略本部
    テレハウス企画部

※掲載されている情報は、撮影当時のものとなります。

プロジェクトの具体的な内容について教えてください。

浅野 慶太
浅野

今回開所した「大阪堺データセンター(以下、本AIデータセンター)」は、KDDIとして初となるAI特化型のデータセンター(以下DC)です。国内で安心してAIを活用できる環境を整備し、AIの社会実装を進めていくことで日本が抱えるさまざまな社会課題を解決していくという強い想いから、本AIデータセンターのプロジェクトは始動しました。AIの需要が高まる一方で、重要なデータが社外から流出することは会社の競争力の損失につながります。また、国外へ流出した場合は経済安全保障上のリスクも伴ってくることになります。そのため、日本のデータを国内の安全な場所で、安心して利用できる環境を求める声が大きくなっており、AIを利用するための国内DCを早急に構築する必要がありました。

山城 奈緒
山城

一方で、膨大なデータを学習・処理するAIの開発には、一般的なDCをはるかに上回る電力と冷却能力が必要となります。
その基盤を迅速に構築するため、シャープ社の液晶パネル工場跡地を居抜きで活用しました。既に備わっていた大容量の受電設備・冷却設備を転用することで、通常3年以上かかる工期をわずか一年以内という驚異的なスピードで実現しています。広大な土地と設備を活用できたこの工場跡地は、まさに絶好の場所であったといえます。

【30秒でわかる!データセンターとは?】
データセンターとは、サーバーやネットワーク機器を設置し、それらを効率よく運営するために作られた専用施設で、データの保存、処理、管理、バックアップを行うための環境を提供します。施設の内部には、サーバーなどの機器を収納するためのラックの配列とともに、外部とのデータ通信を行うための高速回線が整備されているのが特徴です。機器を適温に保つために冷却装置や空調設備も整えられており、安定して作動させるために必要な大容量の電源も設置されています。
データセンターとは?クラウドとの違い・導入メリット・料金体系を徹底解説

▲(左上から時計回り)データセンター外観、サーバーラック、工場を確認するスタッフ、サーバーを冷却する水冷設備

KDDIならではの強みはどこにあるのでしょうか。

福本 創太
福本

KDDIが運営する上での強みは、35年以上にわたってDCを運営し、日本のインフラを支え続けてきた実績に加え、通信キャリアならではの強力なネットワークをセットで提供できる点にあります。インターネットから切り離された独自のネットワークを組み合わせることで、社外に出せない秘匿性の高いデータを扱うお客さまでも、高度なセキュリティを保ったまま最新のAI環境を利用することが可能になります。

門馬 克敏
門馬

この最先端のDCを基盤に、法人のお客さま向けに提供しているのがAI計算基盤サービス「KDDI GPU Cloud」です。これは、AIの開発に欠かせない膨大な演算能力を持つコンピューター(GPU)を、クラウド形式で提供するサービスです。「KDDI GPU Cloud」を通じてAI開発がより活発になり、日本の産業競争力の向上に寄与すると考えています。

それぞれのメンバーの役割や、部署間での連携について教えてください。

▲本プロジェクトにおける部門間の関係図
浅野 慶太
浅野

プロジェクトマネージャーとしての私の役割は、「技術統括」として各部門の要件を具体的な形にしていくことです。「サービス企画」と、「DC戦略策定」の橋渡しをしながら、各部門担当者が素早く意思決定を行う体制を整え、一丸となってプロジェクトを前進させています。

山城 奈緒
山城

テレハウス企画部では、技術開発チームと足並みを揃え、全体の「DC戦略策定」や新規DCの企画・立案、他社との協業案件を担っています。特に外資系AIスタートアップ企業との協業案件では、意思決定のスピードが極めて速い相手に対し、社内の多様な部門の合意を迅速に取り付けながら、同時にKDDIにとって有利なビジネスモデルを構築するべく、粘り強く交渉を続けることも求められる役割のひとつです。

門馬 克敏
門馬

「サービス企画」を担う私たちは、法人向けサービスの主管として、「提案支援」や「技術統括」を担う部門と密に連携しながら、「KDDI GPU Cloud」のサービス組成に取り組んでいます。数百名規模の多くの部門や関係者が関わる巨大なプロジェクトだからこそ、情報が正しく伝わるよう、各セクションの考えや言葉を深く理解した上で、全体最適を目指すディレクションを意識しています。

福本 創太
福本

「サービス企画」が描くビジョンをお客さまへ正確に届けるため、「営業」やSEに伴走する「提案支援」として、企画・技術の両部門をつなぐ役割を担っています。最新のAI環境を求めるお客さまのリアルな声を吸い上げながら、技術開発の各部署と連携し、より実用的で差別化されたサービスへと磨き上げています。

プロジェクトを実現する上で大変だったことは何でしょうか?

浅野 慶太
浅野

一年以内という短期間でのAIデータセンター立ち上げは、工場転用という未知の取り組みに加え、情報が乏しい最新機器を導入するなど、まさに「初めて」尽くしの挑戦でした。しかし、そこで「1月の開所という目標を全員で成し遂げよう」という強烈な思いがあったため、複数部門の各担当者が率先してフォローし合う体制が自然と築かれました。この一人ひとりの高い「当事者意識」こそが、不可能を可能にした最大の原動力です。

門馬 克敏
門馬

いざ構築が始まると、当初予定していたサービス設計通りにいかないこともありました。そんなときも、開発チームと「どうすればお客さまにとって最高の価値を届けられるか」を軸に、運用を工夫することで補うなど、建設的な議論を重ねて柔軟な解決策を導き出しました。常にお客さまへの価値を最優先にし、一丸となって取り組めたのは、「KDDIフィロソフィ」という共通の価値観が私たちの中に浸透していたからだと実感しています。

山城 奈緒
山城

外資系AIスタートアップ企業との協業では、彼らの圧倒的なスピード感に、大企業である私たちがどう応えていくかが一つの鍵でした。30名を超える社内の関係部署と、彼らのリードタイムに遅れないよう迅速に合意形成を進めるのはタフな局面もありましたが、「まずは打席に立って、バットを振ってみる」という精神で、困難な場面でも積極的に挑戦を重ねていきました。この挑戦を恐れない文化が、スピード感のある意思決定を支える力となりました。

福本 創太
福本

「KDDI GPU Cloud」を提案するときには、最新のAI技術をお客さまのビジネス価値へと丁寧に翻訳していくプロセスを大切にしました。今回の非常に高性能なGPUは、お客さまの用途に合わせて最適な構成を組むことで初めて真価を発揮します。そのため、単にスペックを提示するのではなく、営業フロントと技術チームが密に連携し、複雑な計算要件をお客さまの課題解決につなげる「コンサルティング的なアプローチ」を徹底しました。この地道な対話の積み重ねが、お客さまとの深い信頼関係の構築につながっていると感じています。

具体的な活用イメージや、今後の展望を教えてください。

福本 創太
福本

海外にデータを持ち出すことが難しい機密情報を有するお客さまも多くいらっしゃることから、本AIデータセンターには強い関心を持っていただいており、お問い合わせや見学のご希望も多数頂戴している状況です。ご期待に応えるべく、AIインフラとしてだけでなく、プラットフォームサービスまでを一貫してお客さまへ提供し、AIに関するお悩みがあればKDDIですべて解決できる体制にしていきたいと考えています。

浅野 慶太
浅野

自動運転の分野も期待されています。海外のDCを介すとわずかな通信の遅延が発生しますが、国内拠点でデータを処理することで、コンマ数秒を争う自動運転やロボット制御、医療といった領域で圧倒的な安心感を提供できます。今後はこの知見を国内外へ横展開し、KDDIの拠点を「日本のAI推進の中心地」へと拡張していきたいと考えています。

山城 奈緒
山城

AI業界は半年前の常識が通用しないほど変化が激しいため、私たちは常に学び続ける必要があります。幸いKDDIには、社員の学びを強力にバックアップする文化があります。世界的な大規模カンファレンスや専門的なセミナーへの参加を支援したり、海外拠点からの最新情報を共有したりと、世界レベルの専門性を身につけるチャンスが豊富にあるため、貪欲にAIの知見を吸収し、KDDIのさらなるAI事業の発展に貢献していきたいです。

門馬 克敏
門馬

本AIデータセンターやGPUクラウドはまだ最初の一歩に過ぎません。今後は生成AIをチャット利用だけに留めず、お客さまの業務プロセスの中に当たり前のように組み込まれる「基盤・仕組み」を創っていきたいです。

こんな想いを持ったひとと、一緒に働きたい。

浅野 慶太
浅野

知的好奇心を持って自ら解決策を探しに行ける方と一緒に働きたいです。多様な専門家が集うKDDIには、新たな価値を届けるためのフィールドが今まさに大きく広がっています。

門馬 克敏
門馬

部署間の垣根が低く、互いにフォローし合える温かいチームワークがあるからこそ、未踏の領域にも安心して飛び込めるはずです。私たちと共に未来を模索する、意欲ある方の挑戦を歓迎します。

福本 創太
福本

多くのお客さまとつながり、世の中に新しい「当たり前」を実装していく手応えは、KDDIで味わえる魅力の一つです。事業のさらなる拡大に向け、情熱を持って挑戦し続けられる方をお待ちしています。

山城 奈緒
山城

自ら仮説を立てて能動的に動き、世界が変わるような大きな変革を一緒に楽しめる人であれば、これほどやりがいのある環境はありません。多様な挑戦を後押しするこの場所で、ぜひあなたの力を発揮してください。